東京の片隅から
目次きのうあした


2021年11月05日(金) 「狼と羊」

アフガニスタン映画。女性監督の作品で、今は監督は他国に逃れているらしい。

タリバン侵攻のちょっと前のアフガニスタンの寒村。フィクションとはいえ、一つの集落の中にいろいろな顔立ちの人が混ざっていて、そういうところにも文化や人種の交差点なんだなぁと思う。
生活のために寡婦が子どもを置いて再婚したり、子ども同士の遊びで一生後遺症が残るほどの大怪我をしたり、最後はタリバン襲来でわずかな家財と家畜を連れて集落を離れていく、そういう表現に厳しさを感じる。彼らは今どうしているだろうか。
しかしドキュメンタリーにならないのは、映画の所々に挟まれる寝静まった集落を歩く2足歩行の生物。頭部は毛むくじゃらで見えないが、裸の胴体は女性である。グラマラスだがエロスは感じられない。「狼」の寓意的な姿なのかなんなのか。美しいのに禍々しい。ひどく印象的。


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