石牟礼道子「椿の海の記」読了。ミナマタ以前の水俣を描いたもの。あえて言うならば自伝に属するのだろうが、自伝と言うには主人公が幼く(なんせまだ学校にも行っていない)人と人でないものとのあわいが曖昧でフィクションのような趣。読んでいるこちらに潮騒の音木々の間を抜ける風が伝わってきそうな、豊かな文章。方言も良い。いとしくてかなしい世界。ゆっくり読む。