東京の片隅から
目次|きのう|あした
学校の塀越しにドングリがぽろぽろ落ちてくる。あまりにも真下に落ちるので、最初はその木だとわからなかったくらい。 ドングリを見ると思い出すエッセイがあって、それは多分中学受験のために通っていた進学塾で読んだのだと思う。その塾では中学受験用の問題だけではなく、時には高校受験用や共通一次の現代国語の部分も解かされたので、今となってはどのレベルのものだったかわからない。 主人公(「余」という一人称を印象深く覚えている)が自分の幼子とともに林を散歩する。幼子の母(主人公の妻)はもう亡い。幼子は地面に落ちているドングリを拾うのに夢中で、主人公は自分の帽子(ソフト帽か)にハンケチを広げて入れ物代わりにしてやる。子供がドングリを数えながら出鱈目な歌を歌うのを聴いて、主人公はつい涙する。 文体や雰囲気から寺田寅彦ではないかと思うのだが、今となってはよくわからない。 でも、妙に心に残って、毎年思い出すのだ。
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