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夢の図書館新館

お天気猫や

-- 2005年08月02日(火) --

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『天国に近い村』

☆大切なことに思いを巡らせる時間。

原題は『THE HEAVENLY VILLAGE』

「人間が死ぬと、天国という、すばらしいところに行くといわれています。そう、たいていのひとは天国に行くようです。」(引用 P8)

たとえ天国がどんなに素晴らしいところでも、中には天国へ行くのにためらいを感じる人々もいます。神さまは<天国へ直行しないひとたち>と呼んでいます。<天国へ直行しないひとたち>のための天国へ行くまでの息つぎの場所が、<天国に近い村>です。

ライラントの『ヴァン・ゴッホ・カフェ』と同じく、短い物語で、あっという間に読み終えてしまうのですが、大切な言葉がたくさん詰まっています。エヴァレットさん、ヴァイオレット・ローズ、ハロルドと愛犬フォーチューン、アイシャム、コーディー、トマス、みんな<天国に近い村>に住んでいる人々です。それぞれの章には聖書が引用されていますが、キリスト教の神さまに限らず、この神さまは、自分の信じる神さまでいいのだと思います。

<天国に近い村>に住んでいる人々にはそれぞれ、天国に直行できない、直行したくない理由があります。漠然とした理由もあれば、あとに残してきた者を思い、見守り、待ち続けたいという気持ちから、天国へ行くのをためらう思い。自分自身の今という時間が、突然、断ち切られたとしたら。あるいは、愛する者たちが先に旅立ってしまったら。きっとそうあって欲しいと思う、そういう、魂の救いが淡々と描かれています。

ほんとうに、私たちを必ず待ち受けている死というものの先にあるものが、ライラントが紡ぎあげた<天国に近い村>で過ごす時間のように、愛情と優しさに満ちた時間であればと、しみじみと思います。

そうあって欲しいと、本を閉じた後、癒されつつも、静かな悲しみに包まれました。(シィアル)

『天国に近い村』 著:シンシア・ライラント / 訳:森中村妙子 / 偕成社2001

2002年08月02日(金) 『愛は命がけ』
2001年08月02日(木) ☆O・メリングの新作『夏の王』と、『ジャッキー、巨人を退治する!』

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