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夢の図書館新館

お天気猫や

-- 2003年09月09日(火) --

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『紙の町のおはなし』

以前、書店で立ち読みしてから、欲しいと思いながら、 やっと最近取り寄せた絵本。 ちょうど、別ルートで絵葉書も取り寄せたところ。

チェコのアーティスト、クヴィエタ・パツォウスカー。 絵本作家としても活躍している。 なかなか正確に名前をおぼえられないけれど、 絵や作品は強烈な印象で忘れがたい。 最初に知ったのは、CD-ROM版『まよなかのおしばい』(NHK出版)の 紹介記事だった。

この絵本は、世界の絵本画を集めている 安曇野の「ちひろ美術館」から出版された、 新しい絵本シリーズ、第一期の一冊である。 ちひろ美術館には彼女の作品が200点以上あって、 庭のデザインもしているそうだ。

おどろいたのは、絵本のなかの言葉を、すべて 画家本人が手書きしていること。 もちろん日本語の読み書きはできないのだが、 ワープロの文字を参考にしながら書いたという。 その筆跡が、また、なんとも、内容にぴったり。 書道を知らないはずなのに、日本人が書いたとしか 思えない。それも、ピンクの髪の女の子が書きそうな文字だ。

そう、このお話は、紙でできた町に住むピンクの髪の女の子が、 不可解でユーモラスで強烈なキャラクターに、 どしどし出会うというナンセンスなストーリー。 ナンセンス絵本といっていいのだろうか。 現代美術と絵本が融合したような、大人をも強く引っ張る 光線を出している作品である。 この絵本に登場する作品のいくつかは、ちひろ美術館に展示されている というので、実物も見てみたいと願っている。 ただ、表紙をななめに区切って、ちひろ美術館のコレクションであると 印刷しているのは、ちょっと見づらいと思った。 表紙をはずせば、原画のままの中表紙があらわれるのだけど。

ページをめくるたびに、クヴィエタが、紙で創作することに たいそう情熱を注いでいる紙愛好家なのが伝わってくる。 人の手で、ぐいぐい創られた物の存在感が、熱い。 ひとつひとつは、むしろ頼りない紙であるというのに。 (マーズ)


『紙の町のおはなし』 著者・絵:クヴィエタ・パツォウスカー / 訳:結城昌子 / 出版社:小学館2000

2002年09月09日(月) 『花豆の煮えるまで』

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