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夢の図書館新館

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-- 2002年10月23日(水) --

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『魂の伴侶』

「こんど生まれ変わったら、こうなりたい」
「生まれ変わっても、また会おうね」

私たちは、日常的に、こんな会話を交わしている。 生まれ変わり、輪廻転生を信じている人はどのくらいいるのだろう? 本当の数字は調べようがないが、ただ、そういうこと(魂の不滅)を 信じる人の数は、世界的に増えているらしい。

そういう人の割合が非常に低いと言われるアメリカで 精神科医として頂点を極めたのが、著者のワイズ博士。 (余談だが、博士も勤務していた、よく聞くマウント・サイナイという 病院名が「シナイ山」だとやっと気が付いた。たしかに直訳はできない!) その彼がキャリアを捨てるも覚悟で書いた最初の本、 『前世療法1・2』は全米ベストセラーとなっている。

本書では、ワイズ博士が医師として実際に体験した 二人の患者たち、エリザベスとペドロというソウルメイトの出会いと、 さまざまな退行催眠の実例から、 ここに生きるということの意味や、医師としての使命をも理解してゆく。 読みながら、何度も、これはフィクションではないのに、 と思わされるほど、すべてが啓示的である。 (ことに、博士本人が退行催眠でユダヤ教エッセネ派のイエスらしき 人物と出会ったくだりなどは)

主人公である二人は、 長い時を繰り返し寄り添って生きながら、 夫婦にしろ親子にしろ、最後まで寄り添えない悲運に見舞われていた。 それが今生では、人生のなかばで目覚め、 理想的なカップルとなって出会う。 期せずして同時期にワイズ博士の診察を受けた彼らは、 細部まで同じ過去世を、何度も体験していたのだった。

幼児期のトラウマが、いかに意志に反して人生の舵を取ってゆくのか、 今では多くの研究がなされている。 ことによっては、出産前後の状況も大きく影響すると考えられている。 そのトラウマを乗り越えてはじめて、人は自分の人生を生きることができる。 たとえ後半生をそのために費やすことになっても、 この荷物の存在を知り、胸の底から降ろすことは重要だ。

とはいえ、それだけでは癒せない何かが、人間にはある。 それを癒すためには、退行催眠によって 過去の人生でのトラウマを体験することが有効なのだという。 たとえば、子どものころから原因不明で痛かった体の部位が 過去世で受けた致命傷の傷と同じだったり。

それが科学的に検証されているかどうかではなく、 そのことによって、患者の苦しい症状が飛躍的に改善される (その後一度も痛みを感じなくなるとか)というのが、 本来、ワイズ博士が退行催眠を治療として用いた理由である。

しかし、それでは事は収まらなかった。 象徴的な二人の出会いに関わったことで、ワイズ博士の霊的炎はみがかれ、 知り得た生命の叡智とでも呼ぶべき情報を、 「魂のレベルで」惜しみなく、美しく表現している。

当事者二人の奇跡的なロマンスは、 じつは誰にも起こりうることなのだと、 だれにもさまざまな役割のソウルメイトがいるのだと 私もやはり思っている。 何十年も生きてきたら、いろいろな縁があり、 そういうことを思わないではいられない。 出会うべくして出会う、そこまでは決まっていると してもおかしくないと思えるのだ。

それぞれの章のはじめに記された 古今東西の賢人たちの言葉には、 不滅のものへの、人類という種族が抱くあこがれ、 というよりも、絶対的な不滅への確信があらわれていて、 本文にまさるともおとらぬインスピレーションを 与えてくれる。(マーズ)


『魂の伴侶』 著者:ブライアン・L・ワイス / 訳:山川紘矢・亜希子 / 出版社:PHP文庫

2001年10月23日(火) ☆点字の絵本という発想。
2000年10月23日(月) 『クリティカル進化論』

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