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夢の図書館新館

お天気猫や

-- 2001年06月15日(金) --

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☆『小説家を見つけたら』

今回は例外的に、「読み日記」ならざる「映画み日記」。 小説家の出てくる映画、ということで。

映画『グッドウィル・ハンティング』では数学の天才少年(白人)が、 本作では文芸の天才少年(黒人)が主人公。 みごとな対である。 どちらも、ある相手に出会って、天賦の才能を外に向ける。 ある相手──この場合は、ブロンクスで隠遁生活を送る カリスマ老作家、ショーン・コネリー演じるウィリアム。

人生、上から下は見えても、下から上は見えない。 頂上にいる者は、ふもとでアルプスの道を目指す日々を知っている。 いつか、どんなに短い期間であれ、ふもとの道をたどった ことがあるからこそ、頂上にいるのだ。

いやきっと、ほんの少し標高が上がってさえ、 見上げる目には霧がかかってしまうのかもしれない。 だから、前を歩く才能を理解できずに否定する。 だとすれば、お互いに理解できる存在というのは、 ほんとうに同じ標高に立つ者だけということになる。

しかも、頂上をめざす欲求は生まれつきである。 ただそう生まれついているのだ。 頂上を望まず、野で平和に、ある意味では聖なる生活を 送る欲求と同じに、それは誰にも止められない。

老人にとっての若者。 時間の頂上に老人はおり、若者は登り口にいる。 立っている標高(視線)が仮に等しくても、若者には経験がない。 かつて来た道は、そこに見えている。 見えているからといって、足元の大石小石を 踏み越えるには、若者の足で歩くしかない。 足をすべらせたときに、手を差し出すべきかどうか。 かつて選んだ分かれ道の、もう一方が見えないように 老人にとって、死の意味だけはわからない。

そして、出会いはフィフティ・フィフティである。 もしどちらかが道を登りすぎたら、 すぐに分かれ道がやってくる──心の旅でも、時間の旅でも。(マーズ)


映画『小説家を見つけたら』 監督:ガス・ヴァン・サント

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