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夢の図書館新館

お天気猫や

-- 2001年01月06日(土) --

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『人類の子供たち』

あのP・D・ジェイムズが書いたSF、 というだけで異常なまでのわくわく感を覚え、 持って帰って読み始めるまでの時間がとても 長く感じられた。

読み始めると、やはりジェイムズ。 あえてSFと呼ぶといわざるを得ないだけで、 やはり英国の重鎮ミステリなのであった。

SFというジャンルにカテゴライズされる理由は、 人類が不妊になり、4半世紀が過ぎた2021年が舞台に 設定されているからで、ジェイムズはジェイムズ。 ただ、いつものシリーズと比べると、心理描写の 濃厚な、まとわりつくような重みが多少薄いようにも思える。 お得意の厭世観たっぷりのエピソードには事欠かないが。 自分が年をとって感じ方が変わったのもあるのだろうか。

もちろん舞台は英国で。 女性たちもやはり元気。 探偵ものと違うのは、 おなじみのダルグリッシュが出てこないこと、 「誰が殺したのか」がないこと。 やはり殺人は起こる(私の意に反して)…。

内容に言及するとネタバレになりかねないので 遠慮するが、 次世代の子供が生まれないと、もう文化遺産にも 価値がなくなるし王室も消滅しているという皮肉に 英国の午後の光を見る思いがする。(マーズ)


『人類の子供たち』 著者:P・D・ジェイムズ / 出版社:ハヤカワ文庫

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