(1) 昼間、この日記を綴っていた間、一番印象に残ったのは誰だろうと考えていた。 日記を書く以前は、モリタ君という凄い方がおられた。 だが、この日記を書く頃には、彼はぼくの中でも過去の人になっていた。
最近では、ヒロミちゃんか? とにかく、この日記最高の登場回数39回を誇る。 ただ、この人とは30年近くの付き合いがあるから、当然日記以前の知り合いだ。 ということで、却下。
次に多いのが嫁ブーだが、これも却下。 これは生活上の登場に過ぎないからだ。
(2) 次に多いのが誰かというと、酔っ払いのおいちゃんだ。 店に来ては、お客さんにクダを巻く。 冬場は店に居座ってなかなか帰ろうとしない。 挙げ句の果ては寝小便だ。 まあ、そういうのがこの人の地なら目も瞑ったのだが、実はこのおいちゃん、えらく計算高い人だったのだ。
雨の降る夜には、警察署の前でさんざん悪態をつき、相手にされないとわかると死んだふりをしたりして、留置場に泊めてもらおうとする。 また、従業員何人かで抱えて外に放り出したことがある。 その時酔っ払っているはずのおいちゃんは、放り投げようとするぼくたちに向かって、静かな声で「そおっと置け」と指示したのだ。
あとで気づいたことだが、おいちゃんの行動は、ほとんどがパフォーマンスだった。 つまり、酔っ払ったふりをしていただけなのだ。 なぜそんなことをやっていたのかというと、要は一人で寂しいから、誰かに構ってもらいたかったということなのだろう。 それならそういう態度でいればいいものを、変に我を張るもんだから誰にも相手にされなくなり、結局ああいうパフォーマンスでしか自分の存在を示すことが出来なくなったのだ。
おいちゃんは、すでに故人である。 おそらく死んでから、自分の過ちに気づかされたのではないのか。 で、今はあの世で反省しているところだろう。
(3) さて、その次に多いのがタマコだ。 アホなくせに口だけは達者な奴だった。 昨年結婚したが、今はどうしているのだろう。 別に会いたくはないが、たまにからかってみたくなることがある。
そういえば、この日記を書き始めた頃に、甘栗ちゃんという変な子がいた。 顔はかわいかったのだが、微妙にピントがずれていた。 天然なのかと本人に聞くと「いいえ、地です」と言ったり、「小泉首相」のことを「小泉しゅそう」と言ったり、三波春夫を加山雄三だと思っていたり…、おかげでずいぶん楽しい思いをさせてもらったものだ。 タマコと違って、この子は見ているだけで面白かった。 そういう意味で、一番印象に残っているのは、甘栗ちゃんなのかもしれない。
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