今年の初夢は、印象的なものではなかったので覚えていない。 ありきたりな、どうでもいいような夢だったと思う。 今年に入ってからは、ずっとそういう夢ばかり見ている。 そういうわけで、今年は大したことのない年なんだろう、と勝手に占っていた。
ところが、今朝見た夢はかなり印象的なものだった。 それも、これまでに見たことのない、SF的なものだったのだ。 タイトルをつけとしたら、『30年前ツアー』ということになるだろうか。
何かこの世の終わりがきているような場面から、夢は始まった。 案内の者がしきりに、 「宇宙に行かれる方はこちら、30年前に戻られる方はこちらにご乗車下さい」と言っている。 どうしようかと迷ったあげく、ぼくは30年前行きの乗り物に乗ったのだった。 そこで元いた会社の先輩に会う。 「あっ、しんちゃん」 「Tさんもこれに乗るんですか?」 「うん。これに乗って、もう一度やり直してみようと思う。あんたもそういう意図で乗ったんやろ?」 「それもあるんやけど、あの時代をもう一度見てみたいんですよ」 「なるほど。しかし、これが着いた頃には、お互いまた知らん同士になるんやね」 「ああ、そうなるんでしょうね」
その乗り物は1日10年のペースで、時間を遡っていった。 窓の外の風景がだんだん昔に戻っていき、空は公害のせいで霞んでいく。 3日目、ようやくタイムマシンは30年前に着いた。 その時には、もう先輩の姿は見えなかった。
懐かしい街並みの中に、亡くなった伯父の姿を見つけた。 「しんた、釣りでも行くか?」 30年前ならすぐに「行く」と返事したのだが、その時は違った。 ちょっと躊躇したのだ。 ぼくはあることに気づいた。 ちょっと躊躇するのは、今の自分なのだ。 伯父がぼくに気がついたのだから、確かにぼくの容姿は30年前に戻っていたのだろうが、心はそのまま今だというわけだ。
釣りに行くかどうか迷っているうちに、夢は覚めてしまった。 もしこれが初夢だったとしたら、この一年をどう判断したらいいのだろうか? 懐古的になるということか。 しかし、それなら今までと何ら変わらない。
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