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2006年08月13日(日) 楽器時代

ぼくは電化製品やパソコンよりも、楽器関連のサイトを見ることの方が多い。
特にギターのカタログなどを見つけると、飽きもせずにずっと眺めている。
まあ、趣味がそうなのだから、別におかしくいことではない。
だが、考えてみるとぼくの趣味はギターを弾くことであって、ギターを収集したり、カタログを見たりすることではない。
とはいうものの、先に言ったとおりで、なぜか楽器のサイトに足繁く通っているのだ。

そういえば、忘れていたことがある。
ぼくは25年間、家電業界に携わってきたのだが、実はその3分の1以上にあたる9年間は、楽器を販売していたのだった。
楽器部門にいたのは、最初に就職した会社でのことだった。
その会社には11年勤めていたから、そのほとんどの年月を楽器販売に費やしたのだった。

あの時代、仕事柄、ぼくはよく楽器のカタログを見ていた。
最初の頃はカタログだけでよかったのだが、そのうちカタログだけでは追いつかなくなった。
下取りというやっかいなことを始めたからである。
機械ものは製造した年もわかるし、その当時の価格もわかるから、下取り価格は知れている。
だが、ギターはそうはいかない。
国産のほうは機種名などで価格はすぐにわかるのだが、輸入物はたやすくわかるものではない。

そこで、ギターの専門誌や、その歴史が書いてある本などを取り寄せて、勉強することにした。
とはいえ、最初は仕事感覚でだったので、あまり真剣にはやらなかった。
とはいえ、元々好きなギターである。
徐々にハマっていき、そのうちそこに載っているギターを仕入れてみたくなってきた。
そこで手始めに、カールへフナーのバイオリンベースを仕入れることにしたのだ。

カールへフナーのバイオリンベース…、ビートルズの初期にポールマッカートニーが使っていたやつである。
なぜ、これを選んだのかというと、その時すぐに手にはいると聞いたからだ。
ぼくはこの商品に16万円の価格を付けて店頭に並べた。
すると、これがすぐに売れたのだ。
そこで追加注文したのだが、それもすぐに売れた。

これに気をよくして、近郊の店で扱ってない、それでいて歴史的な価値のある機種を仕入れることにした。
自分で仕入れたものだったし、好きなジャンルの商品だったから、売るのにも熱が入る。
その結果、自分で仕入れたものの売り上げは順調だった。

ところが、本社が仕入れたものは、まったく売れなかった。
そのため本社から、たびたび「ヘビメタ全盛の時代に、何でそういう歴史ものを仕入れるんか?」と文句を言ってきた。
しかし、ぼくは完全に無視していた。
こういう世界では売った方の言い分の方が強いのだ。

まあ、こういうこともあって、ぼくの楽器時代というのは、わりと充実していた。
その時代を振りかえる時、電器屋さんに勤めていたというよりも、楽器屋さんに勤めていたというイメージの方が強いのは、きっとそのせいだろうと思う。
楽器のサイトによく行くというのも、きっとその時代の印象が強いからだろう。


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