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2005年03月16日(水) イトキョン他

【イトキョン】
うちの店に『イトキョン』という女性の従業員がいる。
背の高い人で、足がやたら長い。
ぼくより長いのではないだろうか。
ホワイトデーに、ぼくの手渡した包みを見て、「うゎー、ヨックモックやん」と言って歓喜の声を上げたのは、実はこのイトキョンなのだ。
そのホワイトデーの日に、この人の面白い癖を見つけた。
イトキョンが真剣に仕事をしていたのを見つけ、ぼくはそーっとイトキョンに近づいていき、声色を変えて「あ、すいません」と言った。
こういう場合は、素早く振り向いて「はい」と答える人が多い。
ところが、イトキョンは違った。
ぼくが「あ、すいません」と言っても、すぐに振り向かなかった。
彼女はいったんそこで笑顔を作り、そのあとで「はい」と振り向いたのだ。
そう、彼女は『作り笑顔女王』だったのだ。

実は、ぼくと彼女とはあるつながりがある。
それは、イトキョンのお父さんは、ぼくの高校時代の音楽の先生だったということだ。
前に「世間は狭い」という日記を書いたが、これまた狭い実証になった。
今日、そのイトキョンに、このホームページの存在を知らせた。
ということで、慣れない手つきでパソコンを触りながら、この日記を見ていることだろう。


【背が高い人】
イトキョンが『背が高い』というので思い出したことがある。
高校2年の時だった。
帰宅途中にデパートでレコードを漁っていた。
その時、一人の背の高い男が目に付いた。
ぼくは「背が高いのう」と感心して、その男を見た。
その男は高校生だった。
いちおう学生服を着ていたので、襟章を見ればどこの高校かすぐにわかるはずなのだが、あまりに背が高いので、そちらのほうばかりに気を取られて、それを確認することを忘れていた。
それが命取りになった。
しばらく見ていると、その男はぼくの存在に気づいたようだった。
相手もぼくを見ている。
が、彼の目つきは、ぼくがしているような感心して見る目つきではなかった。
殺気を含んでいるのだ。
しばらくして彼はぼくのそばにやってきた。
そして、声を荒げて「コラ、何ガンつけよるんか」と言った。
その時ぼくの目に男の制服の襟章が入ってきた。
「まずい!」
どう見ても朝高である。
しかも、相手は一人ではなかった。
その頃にはぼくもそこそこ背が高く、筋肉もついていたのだが、何せ相手が相手である。
そこで、ぼくはさっそく逃げたのだった。

だけど、あの男は高かった。
世の中には、あどけない顔をしているのに、なぜか背だけを無理矢理引き伸ばしたような人がいる。
そういう人に限って、やせ細っているものだ。
だが、その男はそうではなかった。
背が高いばかりではなく、そこそこ横もあり、顔もその背の高さにあった顔をしていた。
あんなのとやり合っていたら、おそらくボコボコにされていただろう。
いや、背の高い人の弱点は足腰にあるから、そこを攻めていたら、勝てたかもしれない。
しかし、後が面倒だっただろう。
何せ、相手が相手だからだ。
カッターナイフを持って暴れられでもしたらことである。


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