最近、会社に出かける前の行動がルーズになっている。 それほど時間に余裕がないにもかかわらず、パソコンの前でのんびりしていたり、トイレの中でマンガを読んだり、風呂に入ったりと、まさかこれから会社に出かけるとは思えないような行動を取っているのだ。 そのため、家を出るのが、普段より5分程度遅れてしまう。
さらに、嫁ブーが先に家を出た時なんかは、自分で戸締まりまでしなければならない。 「ファンヒーターは消したか?」 「コーヒーメーカーのスイッチは切ったか?」 「タバコの後始末はしたか?」 「ガスの元栓は閉めたか?」 「照明は切ったか?」 「トイレの電気は?」 鍵をちゃんとかけたか? 等々、面倒なチェックが待っている。 そのせいで、家を出るのがさらに5分遅れてしまう。 つまり嫁ブーが早出の時は、普段より10分遅く出ることになるのだ。
今朝もこの流れで、嫁ブーが早出だったため、10分遅れコースだった。 普段は会社の朝礼の10分前に着くように出ているので、10分遅れてもギリギリ間に合う。 が、今日はあいにくの雨だった。 少しの渋滞は覚悟しなければならない。 そういう時、ある人からメールが届いた。 開いてみると、そこにはショッキングなことが書いてあった。 それは、『3号線渋滞』である。 ただでさえギリギリの時間に家を出ているのに、幹線が渋滞となると、確実に遅刻してしまう。
そこで、ぼくは決断した。 「都市高速で行こう」 10日ほど前に幹線の渋滞に引っかかったために、途中で道を引き返し、都市高速に乗りに行ったことがあった。 その時は、幹線を走った分だけ時間がかかったので、普段より15分遅れの計算になった。 しかし、さすがに高速は早く、ギリギリだったが朝礼に間に合った。 それを考えると、今日はその時よりも時間的には早いから、余裕で間に合うだろうと思ったのだ。 インターまでの道は、渋滞もなくスムーズに行くことが出来た。 あとは高速に乗るだけである。 高速に乗ってしまえば、会社まで10分もかからないから、5分前には着くことになるのだ。 その時のぼくは、まさに余裕の固まりであった。
ところが、料金所で高速代を払い、本線に出ようとした時だった。 そこまで順調に流れていた車が次々と止まっていった。 本線が渋滞していて入れないのだ。 何があったんだろうと本線のほうを見てみると、合流地点の先100メートルくらいのところで、何とトラックが横を向いて止まっているではないか。 工事でもやっているのかと思った。 が、どうも違うらしい。 サイレンの音が聞こえてきたのだ。 事故である。 すでに料金所を過ぎているので、引き返すことも出来ない。 会社に遅れると電話をしようと思ったが、警察が出ているので、携帯電話をかけるわけにもいかない。 「しかたない。諦めよう」と腹をくくった。
ところが不幸中の幸いか、トラックは追い越し車線を塞いでいるだけだったので、ほどなく1車線は通れようになった。 おかげで、非常にノロノロながらも、何とか車は進みだした。 事故現場を過ぎると、あとは普通どおりに走れ、会社には1,2分遅れた程度で着くことが出来た。 さらに幸いなことに、今日は朝礼がなかった。 そこでぼくは、何食わぬ顔で仕事に就いたのだった。
あとでわかったことだが、3号線の渋滞は、高速から迂回してきた車が、3号線になだれ込んできたのが原因ということだった。 その原因を作ったのが、あの事故だったわけである。 つまり、ぼくは3号線の渋滞を避けるために、わざわざその渋滞の原因を作った高速に乗りに行ったことになる。 間抜けな話である。
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