| 2003年03月12日(水) |
IF NOT FOR YOU |
君がいなければ、 もう少し静かな高校時代を送っていただろう。 ギターを弾きたいとは思わなかっただろう。 作曲をしたりしなかっただろう。 詩を書いたりしなかっただろう。 ミュージシャンになりたいなどという野望は持たなかっただろう。 レコードを買う金を少しは貯金に回しただろう。
普通通りに勉強もしていただろう。 遅刻することもなかっただろう。 追試も受けなかっただろう。 少しは英話も出来るようになっていただろう。 化学式もわかるようになっていただろう。 サイン、コサインで苦しむこともなかっただろう。 真面目に補習も受けただろう。 旺文社の模試も進んで受けただろう。 クラスで45人中41番なんて成績は取らなかっただろう。 大学にも行っていただろう。
高校卒業後、5年間も浪人することもなかっただろう。 予備校に通うこともなかっただろう。 予備校をさぼることもなかっただろう。 雨の日に自転車で予備校に通うことはしなかっただろう。 デパートの屋上でボーっとしていることもなかっただろう。 予備校近くの公園で、缶蹴りすることもなかっただろう。 同窓会で酔っぱらうこともなかっただろう。 隣の客の部屋まで行って吐くこともなかっただろう。 その後予備校を辞めることもなかっただろう。 家に引きこもるようなこともなかっただろう。 会社の面接で26回も落ちるようなこともなかっただろう。
東京に出ることもなかっただろう。 3週間を2千円で過ごすこともなかっただろう。 新宿で置き引きに遭うこともなかっただろう。 2万円をすられることもなかっただろう。 いろいろ騒ぎを起こし、人から『事件児』などと呼ばれることもなかっただろう。 下宿中の人から「静かにしろ」などと言われなかっただろう。 東京ガスの人から「東京で一番汚い部屋」などとは言われなかっただろう。 朝日新聞のしつこい勧誘を受けることもなかっただろう。 日刊ゲンダイを買うこともなかっただろう。 夕刊フジを読むこともなかっただろう。 産経新聞に出会うこともなかっただろう。 キャッチセールスから声をかけられることもなかっただろう。 月に一度、浅草寺に行くこともなかっただろう。
販売業には就かなかっただろう。 おそらく公務員にでもなっていただろう。 朝7時から、夜11時まで仕事をしなくてよかっただろう。 会社に住まう変な霊に取り憑かれることもなかっただろう。 モリタ君に会うこともなかっただろう。 ミエコに会うこともなかっただろう。 左遷されることもなかっただろう。 昇格することもなかっただろう。 広島に行くようなこともなかっただろう。 道頓堀に行くこともなかっただろう。 センチュリーハイヤットに泊まることもなかっただろう。 白髪が増えることもなかっただろう。 しょっちゅう店長とぶつかることもなかっただろう。 あげくに会社を辞めることもなかっただろう。 今の会社で働くようなこともなかっただろう。
君がいなければ、 夢を持たない人間になっていただろう。 情熱という言葉も知らなかっただろう。 しろげしんたになることもなかっただろう。 ホームページを作ることもなかっただろう。 こんな日記を書くこともなかっただろう。 君がいなければ。
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