◆ その1
最近、三谷幸喜のエッセイを読んでいる。 ぼくは、映画やドラマはあまり見ないのだが、この人の脚本したもののいくつかは見たことがある。 彼独特の、何か「ふにゃ」とした喜劇が好きなのだが、このエッセイでも、いたるところにその「ふにゃ」が出ている。 脚本家の苦労話や、それこそ舞台裏の話を面白おかしく書いてある、なかなか面白いエッセイである。 暇つぶしにはもってこいだ。
さて、この本を読んでいて、ぼくは今までと違った本の読み方をしていることに気がついた。 普通、本を読む時は、内容の面白さだけを追っているのだが、この本に限っては、自分がこのエッセイの作家になったような気分になって読んでいる。 例えば、「この項はノリにノっている」、「この項はアイデアがまとまらんようだ」、「ネタに詰まっとるみたい」、「この項遊んでいる」、「なかなか出口が見つからんみたいやな」、「ここはもっとうまい表現の仕方があるんじゃないか」などと思ってるのである。 こういう読み方をしてみると、やはりプロの物書きでも苦労しているんだ、と考えてしまう。 しかし、プロでもないぼくが、どうしてここまで日記を書くことに苦労しなければならないのか? とも考えてもいる。
◆ その2
最近、ズボンをはくのに苦労している。 ぼくの持っているズボンのサイズは、すべてウエスト82cmである。 ところが、それが合わない。 現在のウエストは、おそらく86〜7cmになっているんじゃないだろうか。 それでも、ズボンをはかないで仕事や遊びに行くわけにもいかないので、無理してはいている。 まず、お腹をグッとへこませて、一気にボタンやフックをかけ、それからベルトを止めるのである。 そして、ゆっくりとお腹を元に戻す。 この一連の作業が億劫である。 しかも、お腹を元に戻すと、かなりきつく、息苦しく感じる。 ズボンがお腹を締めつけ、さらにそのズボンのふちにお腹の肉がだらしなく垂れ下がっている状態である。 この状態で、10時間以上も過ごさなければならないのだ。 まさに地獄である。
いつも言っているが、これは『妖怪ハラマワリ』の仕業である。 何とかしなければならない。 とはいっても、運動してもだめ、器具を使ってもだめ、食事を減らしてもだめ、お菓子を絶ってもだめ、もちろん祈祷師を使ってもだめである。 なぜならこの妖怪に取り憑かれると、『意志』が弱体化してしまうからだ。 だから、いつもこういう試みが長続きしないのである。 そこでぼくは対策を練った。 意志がないとできないようなことをやることが無駄なら、残された道はこれしかない。 直接妖怪と交渉して、出て行ってもらうのである。
まず、軽く『グー』を握り、腹回りを痛くない程度に叩いていく。 つまり、ハラマワリを呼び出すのである。 この時、「ハラマワリ出て行け!」と唱えながらやると効果がある。 ただ叩くだけだと、ハラマワリは「うるさいなあ。こいつ、何やってるんだ?」と思うだけである。 はっきりとこちらの意思を、相手に伝えなければならない。 「ハラマワリ出て行け!」とやると、ハラマワリは「この人は私を必要としてないんだ。そうか、お呼びでないのか」と思うようになる。 そして最後には「こらまた失礼しました」と言ってどこかに行ってしまうのである。 ぼくは、この方法を1週間試しているが、心なしかズボンをはくのが楽になったような気がする。 きっとハラマワリが引越しの準備をしているのだろう。
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