そういえば、もうすぐ誕生日だ。 いよいよ44歳、40代前半も後一年で終わりか。 ということは、この一年で大飛躍があるわけだ。 実は20代の頃、小倉の「ガスライト」というパブで、将来の運勢を見てもらったことがある。 たしかホロスコープで占ったと思うのだが、その時に「あなたは40代前半に大飛躍をします。人も羨む成功を収めるでしょう」と言われた。 その時は「あと20年もあるやないか。面白くないのう」と思っていたが、もうすぐその期限が来るのである。 しっかり鑑定料2000円取られたのだから、当たってくれないと困る。
さて、誕生日がくると、いつも一人の男のことを思い出す。 保育園から中学校までいっしょだった“I”君のことである。 彼とぼくは同じ日に生まれた。 小学校3年になって初めてそのことを知った。 そこから悲劇が始まる。 “I”君は成績優秀で、いつも1学期の級長を任されていた。 先生の受けもよく、生徒の信望も厚くかった。 それに比べてぼくは、おっちょこちょいでおしゃべりで、人の迷惑になるようなことばかりしていた。 当然誕生日が近くなると比較される。 「“I”君はよくできるのに、しんたは馬鹿だ!」 「“I”君は大人しいが、しんたはしゃーしい(せわしい)」 「“I”君は真面目だが、しんたはふざけてばかりいる」 などなど。 先生生徒だけでなく、母親までもがそういうしまつ。 もう、誕生日が来るのが嫌で嫌でたまらなかった。
しかし、ぼくは全敗というわけではなかった。 “I”君に勝つものが二つあった。 一つは社会科である。 ぼくはむかしから社会科が大好きであった。 勉強というより趣味であった。 いくら“I”君が優秀といえども、趣味で社会科をやっているぼくに敵うわけがない。彼の社会科はあくまでも勉強なんだから。 全科目で捉えると歴然とした差があったが、社会科の点数だけは負けなかった。 もう一つはIQである。 5年生の時に行ったIQのテストで、ぼくはかなりの好成績だったらしい。 直接先生から聞いたわけではないが、クラスの子が「IQの結果が出て、しんた君がダントツだったらしいよ。先生が言ってた、『信じられん』って」と言っていた。 ということは、当然“I”君より上だったことになる。 普通のテストとは違って、IQは公表しなかった。 誰もがこの真実を知らないと思うと残念である。 ところで、ぼくはIQのことを聞いてから、さらに怠け者になり、馬鹿なことばかりやるようになっていった。 誰もがこの真実を知っているだけに残念である。
さてその後、“I”君は名門のT高校から九州大学に進学し、順風満帆の人生を送っているらしい。 ぼくはといえば、のちに恋愛学校とかラブラブ学校などと呼ばれるYC高校に進学し、その後は挫折の人生を送ることになる。が、もうすぐ占いの結果が出て、世間をあっと言わせる成功を収めることになる。 ん?待てよ。 “I”君とぼくとは、ホロスコープでいえば同じ星の元に生まれているわけだから、“I”君も40代前半で世間も羨む成功を収めるわけだ。 ということは、いつまでたっても差は埋まらないということになる。 くそー、“I”の奴め!
|