友達とランチ、という女らしいことをやった。往き帰りの電車で、車窓は水田が美しかったが、あまり景色は見なかった。町でふと新聞を見ると夏目が危篤だということにびっくりして甘酒の楽しみなんぞどこへやら、大きな丼を抱いたまま、ぽろぽろ大粒な涙を流しながら神戸の町をところかまわわず歩いたそうです。私も電車の中なのに涙がこぼれて困った。漱石が世話をした若い雲水の話だ。