スナックおのれ
毛。



 私に、「キャッ」と抱きつく人。

 ちょっと前に付き合っていた人の話。
 ウチに泊まりに来た時、トイレにいったかと思うと「きゃッ」と声がしたことがありました。なにかしら、と思っていぶかしんでいたら、便器に虫が!?とのたまう。しかも、けっこう切羽詰った感じでした。
 今、思えば、当時の私の家は引越ししたてで、虫がウヨウヨ。もはや害虫なんだか、森の住人なんだかわからない感じで、のさばっていたんです。本当の所、私は、家の害虫にめっぽう弱くて、手が震えて電話すらかけられないのです。けれど、そんな私にも、虫たちに対してめっぽう強くなる時があります。それは自分より弱い人がいる時。ひとりだったらできないことが、その時の私にはできるんです。虫を潰す?手掴み?余裕です。ひとりの時だったら、できるはずもなく、むやみやたらに怖がって、友人にSOSを出しますが、守るべきものがいると全く違う。立ち向かいます。手の震え?ねじふせます。
 そんなわけで、ちょっと前の彼氏は、私に泣きついてきました。茶色くて、刺の生えた虫にめっぽう弱い、この私にです。その人だって、私が弱いことしっていたくせにそうしてきたんです。ってことは、よっぽどでしょう?そうなると、私、俄然強くなって、ゴキジェット片手にトイレに向かいました。怖さとか気持ち悪さとか飛び越えたDNAに刻み込まれた本能をねじ伏せて、です。
 トイレチェックを入れ、居間に戻ると、彼氏はまだまだ震えるばかり。その時、私、思いました。この人とは、私が振るにせよ、この人が振るにせよ、長くないだろうなあって。結局は、振られちゃいましたけれど、自分よりも「良い仕事」が出きない人には、ついてけないだろうなあって思いました。その人は、今、どうしているのかしら?あいかわらず、彼女に「キャッ」って泣きついているのかしら。できれば、やめた方が良いと思うんだけれど。もう、管轄外で関係ないけれど、無駄に心配しています。

2004年03月29日(月)
初日 最新 目次


My追加