 |
 |
■■■
■■
■ ゲロを踏んだ。
ゲロを踏んだ。 うんこを踏んだら、ウンがつく、なんて憂鬱でいながらもおもしろ半分なレジェンドのひとつにでも仕立て上げられるけれど、いかんせん、ゲロじゃ洒落にもなんないし、なんにもつかない。オマケのようなヒールの靴が滑って、その後はペタペタ、ホームにくっついた。不愉快。
ゲロを踏んだ。 飯田橋、午後11時53分のこと。私の黒い靴には、嘔吐物が接近。もし、足に鼻があったら気付くことのできた、この災害の前兆も、1m60cm離れた頭部付近の鼻では、認めることができず、被害甚大。無念。
ゲロを踏んだ。 東京都内では、糞の類よりもよく発見しうるこの汚物は、「犬の糞、お断り」のように大々的に非難されることもなく、その存在をひっそりと、そして、赤裸々に道端にホームに建物内に、車内に身を曝す。
ゲロを踏んだ。 かつて体の一部を更正しうる工作員の一部であった、この細胞予備軍も今や、人体に入ることもかなわず、私の靴に踏みつけられて、個々の小さな極小の小粒細胞を撒き散らして、人工物の上に堆積する。
そして、いつか東京の土はすべて、人の体内に入ることの叶わなかった哀しき第三者的な動物の植物のちりじりの破片によって構成しうることになるだろう。
2002年06月18日(火)
|
|
 |