ID:99799
斜めうえ行く「オクノ総研 WEBLOG」
by オクノ総研
[1220771hit]

■NECがアビームを買収
コンサルティングファームのアビームがNECに買収されることとなった。
IBMによるPWC買収に引き続き、アビームも買収された。

アビームはもともと会計系コンサルティングファームのデロイトである。
デロイトは会計監査業務とコンサルティング業務を切り離し、それぞれを別法人とした。
その際、国際的に社内が混乱し、デロイトの日本法人はデロイトグループから離れ、外資ではなくなった。
それに伴い名前をアビームと変更。
そして、今回の買収である。
社員は振り回されまくって疲弊していることだろう。

ここ数年、コンサルティングファームはIT系を中心に激変している。
変化はふたつある。

ひとつは、会計系に見られる会計監査業務とコンサルティング業務の切り離し。
会計監査とコンサルティングを同じ企業が行うのでは、会計監査が公正に行われなくなる恐れがあるからだ。
もともとあった議論だけれど、エンロン事件で決定的になり、会計系のコンサルティングファームは両業務を別法人として分割した。
そして、エンロン事件は、アンダーセンを崩壊させた。

もうひとつはコンピュータメーカーによるコンサルティングファームの買収である。
IBMによるPWCの買収と今回のNECによるアビームの買収。
PWCはIBMに買収される以前にHPとも交渉を行っていた。
まだまだこれからHPやMS等、IT系の企業がコンサルティングファーム買収の動きを見せるだろう。
オラクルやSunは貧乏っぽいので、企業買収は無理かもしれない。

コンピュータメーカーにとってIT系コンサルティングファームの買収は「コンサルティング業務の強化」、という本来の意味に加えて、「営業力強化」の側面もある。
僕は現在所属しているファームに中途入社する前、コンピュータメーカーの営業社員だった。
経営戦略と直結している企業へのシステム導入には、営業活動の時点で既にコンサルティングは必要となる。
システムの契約が取れた後は、IT系のコンサルティングとほぼ同じになるが、コンピュータメーカーの営業の仕事は戦略コンサルタントの仕事に非常に近い。
現実には単なる御用聞きの営業が大半だけど。
だが、本来、コンピュータメーカーの営業は戦略コンサルタントであるべきなのだ。

僕は、前職に在職中、システムの営業を行ううち、コンサルティングの必要性を感じたから、コンサルティングファームの門を叩いたのだ。
自分にコンサルティングスキルが欠落していることを自覚していたので「お金を貰ってコンサルティングのお勉強をさせてもらおう」と考えたのだ。
結果的にシステムとは関係のない戦略コンサルタントになってしまい5年になる。
当初の目的からは完全にズレ、未だに卒業できずに留年中である。
だが、コンサルタントになる当初のきっかけは、システム導入の「営業」ためにコンサルティングの必要性を感じたからだった。

僕は、面接に落ちたら、即座に提携交渉に切り替えるつもりでいた。
コンサルティングファームに「営業」を兼ねたコンサルティングを行ってもらい、実際のシステム導入は、僕が当時所属していたコンピュータメーカーが行う、という提携交渉に持ち込むつもりだった。
システムとコンサルティングは、表裏一体であり、切り離せない。
それに経営トップにアクセスするための人脈、顧客リストも欲しい。
今の僕は、システムとは関係のない純粋な戦略策定を行うことが多いけれど(もともとはシステムに強い戦略家というのがウリのはずだったのだけど・・・)、正しい戦略コンサルティングにはシステムの知識は必要。
戦略コンサルタントはシステムを下にみる傾向が強いが、それはおかしい。

逆にコンサルティングファーム側にとっても、独立性は失われるものの、膨大な顧客を抱えるコンピュータメーカーの傘下に入る事により、安定した営業活動を行える。
まあ、営業としてのパートナーはいらなくなるので、給与と仕事が見合わないパートナーは即座にクビだろうけど。
アビームのパートナーは自社株を現金化して、さっさと退社して悠々自適の生活に入るのだろう。


[5]続きを読む

11月17日(水)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る