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斜めうえ行く「オクノ総研 WEBLOG」
by オクノ総研
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■人類は「種」として今後どのような「進化」を見せるのだろう?
人類が「種」としての「進化」をしていくためには、「ダーウィニズム」を持ち出すまでもなく、突然変異が必要である。
人類のなかに、「異常」なもの、「異質」なものが一定程度、必要なのだ。

ここ1万年ほど、人類は生物学的には進化していない。
寿命が延びたり、体格が良くなったり、といった変化は起きているが、これらは医学や食料事情の変化によるもの。
遺伝子レベルでの変化はない。

仮にタイムマシンが存在したとして、縄文時代から赤ん坊を現代に連れてくる。
現代に連れてこられ、通常の現代人と同じ環境で育てられた縄文人の赤ん坊は、現代の環境に適応し、ごくごく普通の現代人の大人に成長するだろう。

人類は今後も、生物学的、遺伝子レベルでは大きく進化しないだろう。
医療技術の発展により、進化に必要とされる「異常」な人間が生まれる可能性がどんどん下がっていくからだ。
だが、異常な子供の発生を認めるわけにはいかない。
超長期的に人類を見た場合、数万年、数十万年の単位で考えた場合も、人類が生物学的に進化する可能性は低下している。

何かが進化する場合、ある程度の異質なものの存在は不可欠である。
異質なものを排除する環境においては、生物だけではなく、社会学的にも進化を停止する。
そして、最終的には絶滅する。
ダーウィニズムはリスクマネージメント機能でもある。

社会主義、共産主義国家群は、1917年のロシア革命から100年にも満たず、ほぼ崩壊してしまった。
社会主義、共産主義は「異質」を認めない。
結果的に進化を止め、絶滅へと向かう。
競争原理が働かない社会、「異常/異質」を認めない社会は、進化しない。
異常値がある一定程度の確率で存在するからこそ、人類は進化するのだ。
最初は、異常、異変であったものが、いつしか力となる。
力となり、強いものが生き残る。
競争原理が常に働き、異常なものが常に生まれ、競争のなかで強いものが生き残っていく資本主義は、理にかなっている。
社会主義、共産主義そのものはほぼ崩壊してしまったけれど、人類の社会的進化のなかでの「異常値」としての役割は果たした。
100年にも及ばない時間で役割を終え、崩壊した。

企業、組織は大きくなるにつれ、自己保存に突き進む。
進化することよりも、現状をいかに守るかに邁進するようになる。
異常を許さず、変化を恐れ始める。
異常、変化を恐れ、自己保存に陥った企業、組織は例外なく崩壊に向かう。
企業の寿命30年説はここから来ている。
未来永劫に渡って変わらないビジネスモデルで存在し続けることのできる、完璧な企業など存在しない。
変化し続けるからこそ、企業、組織は生き延びられる。
GEは電気会社から金融、メディア企業へと変化した。
IBMは計算機屋からコンピュータハードウエア企業へ、そしてサービス企業へと変化した。
京セラはセラミック製造会社からテクノロジー企業、通信企業へと変化した。
長期に渡って存在し続けている企業は、企業の「ガワ」は同じでも中身は全く異質なものへと変化し続けている。

生物としての人類に目を戻した場合、人類の進化は、テクノロジーが寄与するところが大きくなるだろう。
医学的に異常な子供の発生率が低下した現代、人類の生物学的、遺伝子的な進化は起こりにくくなりつつある。
生物学的、遺伝子的なヒトの進化が起きないのであれば、人類はテクノロジーによる人工的な進化に向かう。

人類はテクノロジーにより、「身体の拡張」を行ってきた。
足の拡張であるクルマ、バイク、鉄道。
耳の拡張である電話。
目の拡張である放送。
脳の拡張であるコンピュータテクノロジー、ネットワーク。

人類は、テクノロジーによる外部拡張により、空だって飛べる。
通信技術により、どこにでも存在できる。
時間さえも飛び越えることができる。
人類の種としての進化は身体の外部環境であるテクノロジーによる進化が中心だった。
人類は生物学的にナチュラルな状態では進化を見せないし、いずれは絶滅を迎える。
同質な遺伝子が増殖すれば、疫病や環境の突然変異に対する人類の適応力は低下する。

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10月09日(土)
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