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斜めうえ行く「オクノ総研 WEBLOG」
by オクノ総研
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■ドコモの株主総会で誰もツッコミを入れなかったのか?
ドコモの株主総会の記事が出ていた。
携帯電話事業者は大変だなあ、と思う。
なぜなら、携帯電話事業者の収益は、もはや向上することなどないからである。
「固定」通信事業者の収益性は今後、目も当てられないほど劇的に下がっていくので、携帯電話事業者はまだマシなのかも知れないけれど。
株主に報いるためには、株価は上昇し続けなければならない。
株主の望みは高株価の維持ではなく、株価が上昇し続けることだ。
株価が上昇し続ける、ということは常に収益が向上し続けることを意味する。
しかも、普通に向上し続けただけでは、株価は先取りして上昇してしまい、そこで高値安定となる。
株主としては株価が高くても、安定してもらっては困るのである。
市場の予想を超える成長を続けなければ、株価は上昇せず、株主には何のメリットもない。
高配当をしてくれるのなら、それでも良いが。
携帯電話の需要は既に飽和状態。
ユーザーは増えない。
以前はペットや動くもの全てに携帯電話を!とギャグをかましていたが、一定の需要はあるとしても、シェア的には全国のペットのごくごく一部だろう。
トラフィック収入増を狙う、と言ったところでユーザーはもうこれ以上、携帯電話代は支払えない。
一人当たりの携帯電話利用料を増やすことも限界だろう。
ただ、505シリーズを買ったユーザーは、もの珍しさにつられてFLASHサイトを見て、とんでもないパケット代が発生するので、ドコモの売り上げは一時的に伸びるかもしれない。
まあ、それも請求書がユーザーに届くまでの商売だ。
請求書を見てパケ死に気づいたら、普通のユーザーはFLASHサイトにはアクセスしなくなる。
少なくともFLASHサイトはブックマークではなく、画面メモに登録して、トラフィックは発生しないようにするだろう。
なので、ドコモは通信事業者としてトラフィック収入を当てにしたビジネスをしていても、収益性は向上しない。
株価も上昇しない。
つまり、株主は不満。
と、いうことで、ドコモは純粋なトラフィックに頼った事業領域から抜け出さなければならない。
新たな事業領域を模索しない限り、株主は納得しない。
今回の株主総会の資料を見ると、「赤外線機能」」、「非接触IC」、「RFID」、「2Dコード」、「クレジット決済機能]を活用した「モバイルeコマース」が今後狙っていく事業領域なのだそうだ。
・・・。
これって、携帯電話の「通信インフラを必要としない短距離無線系技術」と「認証機能」の2つだけじゃん。
収益は限りなくゼロな「機能」の羅列。
「事業領域」と書いてあるが、これは事業領域ではなく、「機能」である。
なんかやる度にネットワークに無理やりつながるような、しくみだとかを無理やり作るのだろうか。
赤外線機能はリモコンソフトのダウンロードサービス、以上。
非接触IC、RFIDは通信は関係ない。
無理やりあるとしてもリーダーとして携帯電話を使うか、非接触IC用のアプリ(数K)ダウンロードとかRFIDの128バイトのデータしか飛ばんぞ。
2Dコードだってチケット代わりに画面に映す画像のダウンロードくらい。
カメラで読むほうは単にリーダーとして認識しているに過ぎない。
唯一、ビジネスっぽいのはクレジット決済機能か。
クレジット決済機能は非接触IC、RFIDと組み合わせることによって、かなりの事業性を見込むことができる。
ただのネット決済の事を言っているのであれば、ダメだけど。
このあたり関しては僕の本職なので、また他の機会に書く。
全てサービスプラットフォーム的なビジネスを想定しているのだろうけど、たいした収益は生まない機能ばかり良く並べたなあ、という感想。
一体どこで儲けるつもりか?
このアンバンドル時代にプラットフォームの独占などできんぞ?
携帯電話の付加価値が向上することは認めるが、収益とは関係ない。
ユーザーにとってはありがたい事だが、株主は納得しないだろう。
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06月20日(金)
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