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斜めうえ行く「オクノ総研 WEBLOG」
by オクノ総研
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■本当に企業は株主の利益を最優先して良いのか?
僕は「会社は株主のものだ」とか「企業の存在目的は株主の利益を最大化すること」と、資本主義原理主義者ぶりを発揮している。
それって「資本家の犬」の意見であり「支配する側の論理」ではないのか?と、「週刊金曜日が好きなタイプの人」は疑問に思うだろう。
企業にとっての他のステークホルダーを軽視し過ぎてはいないか?
確かに株式会社のしくみや資本主義の構造や原則から言って企業は「株主=資本家」の利益を最大化することに注力すべし、ということは正論だけど、本当にそれでいいのか?
■「株主が一番偉い説」に対する反論
・一番偉いのは顧客ではないのか?お客様は神様ではないのか?企業は顧客がお金を払ってくれるから利益を上げられるのではないのか?
・取引先は放って置いて良いのか?原料や部品を供給してくれる企業や商品を販売してくれる取引先があるから企業はビジネスをスムーズに展開できるのではないのか?
・従業員の幸せはどうなるのだ?従業員は単なる資本家の奴隷か?従業員がマジメに働いてくれるから企業はビジネスを遂行できるのではないのか?
・企業は社会の一員ではないのか?国民として社会にキチンと貢献すべきではないのか?社会や国に奉仕しなくても良いのか?
・株主の要求ばかりを気にしていると短期的な視点でしか企業が経営できなくなるのではないのか?目先の利益や株価ばかりを気にして長期的な成長機会が損なわれるのではないのか?
別に構わないのである。
企業は基本的に株主の利益だけを考えていれば良いのである。
企業を取り巻くステークホルダーは
・顧客
・取引先
・従業員
・銀行
・政府
・株主
である。
企業のP/L、損益計算書の項目を見てみよう。
@売上(顧客への商品・サービスの提供)
A原材料コスト(取引先への支払い)
B製造販売費用(従業員への給与支払い)
C借金返済、金利支払い(銀行への支払い)
D税金(政府や社会への支払い)
E内部留保(成長のための再投資用)
F配当(株主への支払い)
かなり乱暴な書き方をしたけれど、P/Lは@からFの順番で記述されているはずである。
企業の収益配分の優先順位である。
株主への配当が一番最後にあることに注目して欲しい。
株主への支払いは一番後回し。
企業活動においては全てのステークホルダーに対する義務を果たし、絞り切った絞りカスのみが株主の利益となるのである。
場合によっては投資を優先し、配当金が払われないこともある。
企業の構造から言って株主の利益を最大化する、という命題は全てのステークホルダーを満足させてはじめて成立する。
広い会場でプレゼンテーションをするとき「後ろの方、ちゃんと見えますか?聞こえますか?」とたずねる。
前の人にはそんなことはたずねない。
後ろの人にとって問題がなければ、前の人に問題がないのは当然だからだ。
企業活動も同様。
株主の利益を一番に考える、ということは結果的に株主よりも前の席に座っている他のステークホルダーの満足を株主以上に考えていることになる。
経営者の皆さん、まずは株主のこと、資本を提供してくれた資本家のことを一番に考えてください。
株主が満足する、ということは結果的に全てのステークホルダーの幸せにつながります。
11月20日(水)
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