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斜めうえ行く「オクノ総研 WEBLOG」
by オクノ総研
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■マフラー1本、右ハンドルのアウディTTは素人
僕は左ハンドルのマニュアル車に乗っている。
アウディのTTクーペのクワトロ。
乗り始めてからそろそろ3年になる。
日本に数十台しかない余計なウイングのついていない希少なオリジナルモデル車。
別に希少なオリジナルモデルなどと断らなくても、そもそも月に一回見かけるかどうかといったクルマである。
21世紀のカーデザイントレンドの突破口となり、ニッサンのZをはじめ、世界中のカーデザイナーがパクりまくったという、格好良すぎるデザインである。
バウハウスだとかFuturismo(未来派)だとかカーデザインの領域を超え、アートの次元で語られているクルマだ。
ソニーの出井会長も乗っている。
僕はカーグラフィックTVで松任谷正隆氏が「いいなあ〜、かっこいいなあ〜、欲しいなあ〜」とワケのわからないコメントをしているのを見かけ、デザインに圧倒され、発売1年前に値段も決まっていない状態でオーダーしたのだ。
不人気車というわけではない。
お下劣な六本木や渋谷では見かけないが、表参道や外苑前あたりでは良く見かける。
休日の外苑前の絵画館の手前、セランのあたりには間違いなく駐車されているタイプの車である。
そもそも台数が少ないのは左ハンドルのマニュアルしか設定がないことによる。
日本では左ハンドルもマニュアルも売れないのである。
左ハンドル車は少数のバカが買うかも知れないけれど、マトモな人は輸入車であっても右ハンドルを選ぶ。
左ハンドルなんて現実には不便極まりない。
追い越しの時には先を見通せないし、有料駐車場や左ハンドル用ボタンのない有料道路の無人料金所ではいちいちクルマから降りなくてはならない。
どう考えても右ハンドルのほうが便利である。
ちなみに珍しく右側にお姉ちゃんが乗っている場合も、TTは窓が異常に小さいので、自動支払機に向かってに手を出そうとすると変な体勢になり、腕がつって叫ぶことになる。
それに加えてマニュアル車。
マニュアル車なんて、まともに運転できるやつはもはや少数派。
車庫入れが面倒。
ミッションは6速だし変な構造なので、素人だとバックギアも入れられないだろう。
盆暮れの高速道路の鬼のような渋滞に巻き込まれたらクラッチのせいで足が筋肉痛になる。
僕としては右ハンドル、オートマ車のほうが楽チンなので断然好きである。
左ハンドルのマニュアル車の利点なんて「盗難に遭わない」くらいのものである。
左ハンドルマニュアル車は盗難車マーケットですら不人気なのである。
そのうえ1800ccの小さなクルマのくせに妙に値段が高い。
と、いうワケでアウディTTはマトモな人はなかなか買えないクルマだったのだ。
妙に敷居が高い。
僕はデザインに惚れてしまったので、不便さには全て目を瞑った。
不便さを楽しむ自虐的かつ自己満足的なダンディーさを気取っているフリをしつつ、実は耐え忍んでいたのである。
ところが、である。
アウディジャパンはTTの廉価版の右ハンドルオートマモデルを発売しやがったのである。
正確にはティプトロだが、むかつくのでオートマと書く。
廉価版は僕の保有するクワトロより100万円も安い。
値段の高いクワトロ版は左ハンドルでマニュアルのままだが、値段の安いFF版は右ハンドル、オートマ。
アウディジャパンは左ハンドル車=高級車などという時代錯誤な認識をしているようだ。
廉価版のTTはFFだし、パワーも45馬力も低いのだけれど、外見上の見分けはほとんどつかない。
そもそも必要以上に速いので、少々馬力が落ちたところで何の問題もないし、クワトロなんて普通に都内を走るぶんには全く関係ない。
外見上での違いはマフラーが左右二本出しか一本出しかのみである。
内装なんて全く同じ。
まず、見分けられる人などいないだろう。
アウディTTは誰でも買えるクルマになってしまったのである。
こちとらせっかくやせ我慢して乗ってるのによ。
僕の嫌いな軟弱アパレル野郎が大挙して買いそうである。
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11月11日(月)
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