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斜めうえ行く「オクノ総研 WEBLOG」
by オクノ総研
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■NECがアビームを買収
NECをはじめとする全てのコンピュータメーカーはコンサルティングファームの買収を目論んでいると考えられる。
コンサルティングファームは資産を持たない。
人とブランドが唯一の資産である。
なので、バランスシートは小さく、企業としての価格は安い。
パートナー制度を採用しているので、公開買い付けによる買収は困難だけれど、交渉次第では安く買える。
アビームはデロイトグループを離れ、アビームへと社名変更を行った時点でブランド価値を失った。
残った資産は人だけだっただろう。
その人もデロイトグループを離れた時点でグローバルな人的ネットワーク資産を失っている。
アビームは事実上、日本ローカルの弱小コンサルティングファームだった。
そういった意味でアビームの企業価値は限りなくゼロに近い。
記事から推定するとアビームの企業価値は320億円、という事になるが、正直言って高すぎ。
何の資産も持たない企業に320億円はあり得ない。
しかも経営不振の企業。
NECがコンサルティングファームを欲しかった気持ちは良くわかる。
僕がNECの経営者であっても、コンサルティングファームの物色をしていただろう。
でも、320億円は高すぎだと思う。
試しにバランスシートをきちんとみて、のれん代、将来の収益見通しから企業価値を評価してみるといい。
不動産、現金、有価証券等の資産はほとんどなし、ブランド価値としてののれん代もほとんどなし。
収益見通しは、「((所属コンサルタントの単価)×(コンサルタントの人数)×(稼働率))−(コスト)」なので簡単に算出できる。
不確定要素は稼働率のみであり、多くのクライアントが継続顧客であるコンサルティングファームにとって、稼働率はよほどのことがない限り大きくブレない。
簡単に企業価値は評価できる。
そうすれば、320億円はあり得ない金額だとわかるはず。
NECにとっては、コンサルティング力強化、営業力強化に加えて相乗効果を加味したのだろうけれど、高すぎ。
資産もない会社を320億円で買っていったい何年で回収するつもりなのだろう。
DCFで評価すれば恐ろしい事になる。
ただ、NECにとって、コンサルティングファームの買収は戦略として正しい。
アビームを選んだ理由は、「安かったから」だろう。
でも、もっと値切った方が良いと思う。
そして、「営業」として見合わないパートナーは降格もしくは、クビにしたほうが良い。
でも、優秀なコンサルタントはどんどん流出するんだろうな。
■NECがアビームに出資。経営不振説は否定
http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/NC/NEWS/20041116/152641/
11月17日(水)
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