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斜めうえ行く「オクノ総研 WEBLOG」
by オクノ総研
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■肉体化するということ
「僕は自動演奏人形じゃない」

その日から僕の自分の弾きたいようにピアノを弾くことにした。
僕は小学生のガキながら、音楽を自分なりに解釈し、肉体化しようとした。
その時からピアノは僕と一体化した。
僕の身体の一部となった。
僕は自分の解釈で自分の肉体の欲する音を出そうとした。

結果として、僕はクラッシックの世界から落ちこぼれた。
当時はしょせん、ガキの音しか出せなかったのだ。
女の子ばかりのピアノのなかで、男の子の僕の出す荒々しい音は、それなりに評価されたけれど、「正しい」クラッシック音楽からはどんどんかけ離れていった。

そのまま、惰性で高校2年生まで音大受験コースのピアノ教室に通ったけれど、結局クラッシック音楽と僕は相容れなかった。
ただでさえ不器用なのに、偉大な作曲家の曲を好き勝手に演奏する。
下手くそなうえに、ワケのわからないリズムを刻む。
「ピアノは打楽器だ」が当時の僕の信念だった。

僕はクラッシックの世界には受け入れられなかった。
当たり前だけれど、クラッシックの世界ではピアノは「打楽器」ではない。
僕は高校2年の終わりという大学受験の準備開始には遅すぎる段階で、ようやく音大受験を断念し、普通の大学受験コースに変更した。

だけど、僕はそれはそれで良かったのかな、と思う。
大人は認めてくれなかったけれど、それは僕の音楽だったから。
僕の肉体の刻むリズムだったから。
しょせんはガキだったから無茶苦茶な音だったんだろうけれど。

結果的にそのあと、普通の大学に進学してから1年足らずでインディーズながらレコードも出せたし、コンテストでも賞を取れたし、ライブハウスは満杯だったし。
それはそれで良かったのかも知れない。

僕は道具が自分の肉体と一体化して、考えなくても自分の身体が反応し、自分の感性が自動的に具現化される境地に達しないと納得できない。
ツールが自分の身体、肉体と一体化しないと何もできない。

脳ではなく、肉体で理解する。
考えるより先に身体が反応するまで、反復訓練をする。

とかいいつつ、僕はHTMLのオーサリングやデザインワークが肉体化から遠く離れてしまったので、今回のリニューアルは難航している。
以前は神業的に使えたのに。
まあ、現場から既に5年も離れているから、という言い訳もさせて欲しいのだけれど。

身体、肉体と脳が遠く離れていく。
僕は脳ではなく、肉体で考える。
だって僕の脳はアルコール漬けだから。

02月13日(木)
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