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いぬぶし秀一の激辛活動日誌
by いぬぶし秀一
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■地方自治経営学会研究大会@岩手県遠野市
 今日から所属している地方自治経営学会の研究大会が岩手県遠野市で開催される。この学会の研究大会は、春が東京、秋は地方開催でなおかつ開催都市の地方自治体と共催となる。今回は、被災地支援の最前線拠点として大活躍をされた岩手県遠野市で開催することで、少しでも東北地方の活性化に寄与しようという趣旨だ。

 開会が朝9時50分。一番の新幹線でも間に合わないが、昨晩はたちあがれ日本の党大会があったため、前泊ができなかった。やむなく遅刻承知で出発した。地元の京浜急行の駅を午前5時25分に出発。東京駅発6時4分、新花巻から単線の釜石線に乗り換え、小さな遠野駅についたのは10時9分。

 こんなに遠いのだから、参加者は少ないだろうなと思いつつ会場に入り仰天した。なんと、この小さな街には不釣合いな大会場が満席なのだ。机も足りず、椅子だけの席も満員。かろうじて最前列に席を見つけて着席した。

 最初の講師は当学会の会長でもある片山善博慶応大学法学部教授(前総務大臣・元鳥取県知事)だ。片山教授の話し方は実に心地よく、この方の話だけでこの学会に参加する意義があるとさえ思える。以下、講演のエポック。

防災訓練の日に防災服を着てシナリオ通りの訓練を皆さんの自治体で行っていないか?シナリオ通りの訓練は「文字が読めるか」の訓練だ。

財務省主導の民主党政権は財源がつかなければ復興の補正予算を組まないと言っている。復興構想会議でも「財源だ、増税だ」とやっている。おかしい。今、手術しなければ死んでしまう患者を前にして、家族が医療費弁済計画書を持参するまで手術をしない救急病院があるか。やるべきことは財源があろうがなかろうが、やる、それが政治主導のはずだ。

 第二講は、北海道大学山口二郎教授による「新しい政局とその地方分権」である。

なぜ民主党政権は短命なのか?それは、民主党における政権交代が、自己目的化してしまっていて、政権交代をはたしたらやることがないからである。また、緊急避難(消去法)としての野田政権にも「総理になりたい」という理念があっても、テーマ性が欠落している。平穏無事から問題対応型に変わらねばいけない。

民主政治にとっては、市民に好かれることが政治家にととって重要である。その結果、大衆迎合(ポピュリズム)という問題がおきる。リーダーと市民の適切な距離が求められる。

官僚や役人の陥る落とし穴として擬似目的と本来目的の置き換えがある。例えば教育の本来目的は「子供の発達」であるはずが、擬似目的として「学力テストの点数をあげる」等となってしまう。そして、官僚主義は擬似目的に奉仕する。

大震災の復興支援には地方分権が需要な鍵になる。野田政権が震災復興と地方分権をどのように位置づけるか注目したい。

 まったく納得。地方議員の目的は「住民の最大幸福」のはずが、いつの間にか「選挙に当選する」ことが擬似目的いや自己目的化してしまっている。さらに、議会も「議論」することが求められているはずなのに、「シナリオ通りすすめる」ことが目的になってしまっている。


 次は開催地の本田敏秋市長による「遠野市の沿岸被災地後方支援」。

遠野市は内陸部にあり、地盤も固いため今回の地震での被害が沿岸部に比べて少なかった。そこで、震災直後から以前より国に提案していた後方支援拠点として活動を開始した。震災後14分後(すばらしい!)に遠野運動公園の開門を指示。夕方には岩手県警機動隊、陸上自衛隊など1900名がこの場に集結。

17時52分には第一回災害対策本部会議(警察、東北電力、自衛隊、郵便局参加)を開催。同日深夜、隣町の大槌高校に500名が避難し孤立。食料、寝具がない、との報をもって男性が本部に駆け込んできた。早朝4時50分消防隊員が大槌高校に向け、乾パン500食、毛布250枚を持って出発。

被災後50日間で、遠野市が行って救援物資の主な支援は以下のとおり。

おにぎり(ボランテイアがにぎった)14万食、燃料3500缶、衣類、寝具12万5千枚、米3800袋、水、飲料10万6千本、食料11万箱


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10月27日(木)
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