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いぬぶし秀一の激辛活動日誌
by いぬぶし秀一
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■気仙沼支援最終日、ありがとう!
早いもので今日で医療救護班の私のシフトが終わる。被災地の多くの人々の温かさと、その再建を応援する多くの善意に触れることが出来て大変意義深く、もう一度、いや何度でも来たいと思う。
さて、今日もいつもと同じ午前5時半起床。6時朝食。7時宿舎出発という段取りである。最後だと思うとたった5日でも名残惜しいものだ。
今日は午前中は車を使う診療所開設がないので、さてさて何をして過ごそうか、と考えていたのだが甘かった。東京都医療救護班は、一人のマンパワーも無駄にしないのだ。
都の課長さんから「いぬぶしさん、ワクチン接種の手伝いしてください」と、お呼びがかかった。さっそく、気仙沼市の担当者に「指示を仰ぎ」に出向いた。接種に来場した高齢者の動線誘導をお願いしたい、とのこと。「こき使ってください」と応じると、リーダー格の女性職員さんが「任せてください!こき使いますから」と、冗談まじりに答えた。実は後刻、この言葉が本気だったと知るのだが‥
高齢者の肺炎球ワクチン予防接種は、大田区でもその接種費用助成(70歳以上5歳きざみ一人4000円)を行っているが、今回の気仙沼市の接種は、65歳以上の高齢者が無料なのだ。
午前10時から11時までの受付と聞いていたので、しばらく車で休憩をしていると9時半前に課長さんが飛んできた。「いぬぶしさん、すでに始まります。急いでください。」と。えええ!随分早いじゃないの。
あわてて受付場所に行くと、すでに50人以上が並んでいる。10時開始も30分早めることになった。最初のころは確かに「こちらへどうぞ!」などと交通整理をしていたが、受付の市職員は一人。兵庫県から応援にきた保健師二名は予診票の記入指導で手が回らない。
スタートしたころの会場(まだ余裕があった)
いつのまにか、受付の机に移動していた。兎に角、殺人的な忙しさである。一緒に「戦う」市職員さんは、予診票のナンバリングと「避難所か自宅か」の聞き取りで、それ以外には手がまわらない。
私の仕事は、当初の高齢者の誘導のほかに、1.予診票に日付印を押すこと、2.使い終わった体温計を消毒すること、が加わった。と、ところがである。記入を終わった予診票は、診察室手前の箱に入れるようになっているのだが、あまりに人があふれて、通路がふさがれ高齢者では、到底その場所までたどり着けないのだ。
そこで急遽、私が「書き終わった予診票をお預かりします」と怒鳴って歩くことにした。回収したものを、私が人ごみをかきわけ届けるのだ。ところが、ここでさらに仕事を増やしてしまった。保健師さん2名が、書き方の指導をしているのだが、人、人で到底こちらもマンパワーがたりない。
そこに「予診票回収係」の私が歩いているのだから質問の嵐である。また、氏名欄には名前が書いてあるものの、ワクチン接種の希望書(同意書のようなもの)への署名のないものが多い。結局、受け取った予診票の内容までチェックせざるを得ないことになった。
午前11時の同じ場所(どうにもならない!)
その結果、午前中接種者354名、終了時間13時。午後の接種者178名。合計532名の接種の受付業務を担当させて頂いた。立ちっぱなしと走りっぱなしで、いやはや疲れたのなんの。
戦友だった市役所職員さんから「東京都さんは、マルチで助かったわ!」と、お褒めの言葉を頂いたが「都職員ではありません」とは、東京都職員の名誉のため言わなかった。東京都の職員は頑張る、と思っていただいたほうがせっかくならいいではないか。
午後2時半ごろには接種業務が終わり、本来業務の運転に移行。明日からのシフトのため気仙沼入りした職員さんと都立病院の医療チームを乗せて避難所の下見引き継ぎだ。人数が多いので、いつも乗っているノアではなく、ハイエースのロングワイドボデイという、なんとも大柄な車両での出発だ。
普通の道路なら何ら問題はないが、未舗装の狭隘道路でガレキが散乱している被災地を、このバカでかい車で走るのはいささか勇気が必要だ。まあ、それでも無事下見も終了。
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06月04日(土)
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