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いぬぶし秀一の激辛活動日誌
by いぬぶし秀一
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■平成20年度決算認定反対討論
区の財政状況を推しはかるもっとも簡単な数字は、区債残高と基金残高でありましょう。平成20年度末の区債残高、つまり区の借金の額は635億8700万円余り、反面基金残高、わかりやすく言えば定期預金残高は1072億2151万円余りと、借金の2倍近い基金残高を誇っております。これは一応、健全財政として評価できるものの、ビジョンなき基金積立には異論を唱えるものであります。また、監査意見にもあるように、基金の積立、取り崩しに関する資金計画がないため、せっかくの巨額の基金の運用益がきわめて低いことも「民間」ではあり得ないことでしょう。
 大田区の取りっぱぐれである「不納欠損額」も問題です。平成20年度の特別区民税、などの諸税の不納付欠損額は4億5百万円であり、国民健康保険の15億円を加えると、実に約20億円が「取りっぱぐれて」いることになるのです。これも民間企業ではあり得ない数字でありましょう。徴収努力の結果、年々、この割合は低下する傾向にはありますが、公平感からも問題です。自らの会社の売上売掛金の回収を必死に行う、という発想が必要です。
 昨年起こった、羽田中学校改築工事の契約拒否の案件も不思議でした。官製談合、いや業者の談合破り排除だ、など様々な憶測が飛びましたが、真相は藪の中になってしまいました。昨年度に行われた「入札改革」を標ぼうする電子入札による一般競争入札の落札率99%以上の案件、つまり大田区の予定価格ドンピシャリの割合は51%にもなっています。議決が必要なより高額な案件になると、この割合はさらに高まるのです。はたして、これが公正な競争の結果でありましょうか。区執行部は、このような数字を見ても、相変わらず「適正な競争の結果」と、あきれる答弁、認識を示しているのは、区長がどう変わっても、お役所は変わらない好例かもしれません。
 社会体育費の大田総合体育館の建設にかかわる公有財産購入費も問題です。当初予定になかった隣接地を、更地としてではなく、解体するマンションの建物まで評価して購入したのは、あまりにもやりすぎでした。いったい、いかなる力学が働いたのでありましょうか。
 縷々、意見を述べましたが、今、大田区役所を含め、多くの官公庁に欠落しているのは、「自分のお財布」感覚であります。自分が自分のお財布から支出するとしたら、このような使い方をするだろうか、との認識が欠落しているのです。今ある「自分のお財布」感覚は、まるで公金を自分のお金のように、好き放題使う「お財布」でしょう。他の自治体では、組織ぐるみ、摘発すべき警察までもが公金で裏金を作っていることが暴露されました。幸い、大田区では、そのような事例は発覚しておりません。が、目的のない土地購入、意味不明な調査、ビジョンなきまちづくり、その場限りの施策など、その公金執行の理念を疑う事例が多数散見されるのは、極めて残念なことであります。
 ところで、この決算審査において、議会の空気は以前といささか変化してまいりました。それは与党会派と呼ばれる方々が、様々な問題につき反対や異論とも思える意見を表明されたことであります。私は、再三、2元代表制の地方議会に与野党は存在しない、と、制度上、理論的には当たり前のことを訴えてまいりました。そのことが、少し具現しはじめているのかな、と些か安堵しております。
 松原区長の任期も、そして我々議員の任期も、残すところ1年半を切ってしまいました。どうか、決算特別委員会で提起された様々な問題点を、区長は真摯に受け止められ、「お役人の目」ではなく、「民間の目線」で、さらには、それぞれの事業課の各級職員が「自分のお金で行うなら」という観点で、松原区政の今任期最終となってしまった来年度予算の編成にあたられるよう強く要望し、あえて今回反対を表明した私の討論といたします。

10月14日(水)
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