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いぬぶし秀一の激辛活動日誌
by いぬぶし秀一
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■大田区無防備平和条例直接請求否決
さて、それでは、この条例案がいかに不適切なものかを述べてまいります。まず第1点目は、地方自治体がこの条例を制定することができないという点であります。地方自治法第1条の2において、「国際社会における国家の存立にかかわる事務、(中略)全国的な視点にたっておこなわなければならない施策」は国が担う、と書かれております。当然のことながら、国家の防衛については、これに相当し、国が所管するものと考えられます。そして、同法14条では、地方公共団体は法令に違反しない限り条例を制定することが出来る、と述べております。すなわち、本条例案は、地方自治法第1条により、国の事務とされることにつき、大田区で条例を制定する、との趣旨でありますので、14条に違反することになります。また、さきに公布された、国民保護法により、地方自治体は国の方針に基づき、国民保護について措置を推進する責務があり、この法律にも違反する条例となってしまうのです。さらには、ジュネーブ条約第1追加議定書第59条により、無防備都市宣言に必要な4条件にある戦闘員、移動兵器の撤去や、軍用の施設を敵対目的に使用しない等の決定は、自衛隊法に基づき内閣総理大臣の所管事務となり、大田区長によって、これらの条件を満たすことは出来ないのです。
次に、宣言そのものが出来ないという問題について述べたいと思います。
先ほど述べましたように、ジュネーブ条約第一追加議定書第59条には、宣言をするための4つの条件をあげています。
1.すべての戦闘員並びに移動用兵器及び移動軍用設備が撤去されていること。
2.固定した軍用の施設又は営造物が敵対目的に使用されていないこと。
3.当局または住民により敵対行為が行われていないこと。
4.軍事行動を支援する活動が行われていないこと。
1,2については、国の権限に属するもので、大田区の権限により行うことはできないものであります。3.についても、66万区民に対し、占領軍に対し敵対行為をするな、と大田区が命令を出すことは非現実的であり、少なくとも、私は最後まで敵対行為を維持するつもりでおります。
4については、国民保護法、武力事態対処法など関連法規により、大田区は支援協力が義務付けられており、これを拒否することはできないのです。
以上、4条件いずれも、大田区の権限では達成できず、たとえ条例が制定されたとしても、宣言の条件が揃わないことになるのです。
また、赤十字国際委員会のコメンタール(解説集)2283には次のように書かれております。
原則として宣言はその内容を確実に遵守できる当局によって発せられるべきである。一般的にはこれは政府自身となるだろうが、困難な状況において宣言は地域の軍指揮官、または市長や知事といった文民当局によってされることもあり得る。もちろん、文民当局により宣言が発せられる場合は、宣言条件の遵守を確実にする手段を唯一持っている軍当局との完全な合意のもとになされなければならない。
つまり、宣言を発するのは政府であると述べており、それが困難な状況、例えば有事にあって、もはや無政府状態であるような場合には文民当局、すなわち自治体にも宣言が出来ると規定されているのです。しかし、その場合であっても、軍当局との完全な合意が必要であると示されており、我が国における軍当局とは国際的に自衛隊でありますから、自衛隊の合意がなければ宣言ができないのであります。同様の理由から、平成16年6月24日国立市長の「自治体において宣言は出来ないか」との質問に、政府は公式に「出来ない」と回答しております。
このように、条例制定は法令違反であること、万一制定したとしても、宣言が発せられない、この2点から本条例案はまったくその制定の意味をなさないものであります。
以上申し述べました理由から、日本国を、大田区を、そして家族を愛してやまない私は、このような国家を捨て、白旗降伏宣言を大田区に強制する条例案には到底賛同することはできないのであります。
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07月21日(金)
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