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雪さんすきすき日記
by 氷室 万寿
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■「Ori and the Blind Forest」のこと
 「Ori and the Blind Forest」(Moon Studios)の感想を。プレイしたのはDefinitive Editionの方。

 精霊樹の光により繁栄を享受していたニブルの森。しかし、運命の夜に起きた出来事により光は消え去り、森からは命が失われていった。主人公である精霊の少年オリを育ててくれたナルが亡くなり、そしてまたオリの命も消えそうになったその時、精霊樹の奇跡によりオリに再び命が吹き込まれた。そして、精霊樹の化身であるセインと出会い、オリは自らに課せられた使命を知る。オリはセインと共に、精霊樹の光を取り戻しニブルの森を蘇らせるための過酷な冒険へと向かう。

 美しいグラフィックと過酷な難易度が特徴の2D探索アクションゲーム。主人公のオリが森の長老樹たちの力を借りながら、3つのクリスタルを復活させて森に光を取り戻すのが目的。
 初期操作は移動、攻撃、ジャンプのみ。攻撃はセインが行い、射程に入ると自動で追尾する弾を放つ。各所に点在する長老樹の力を吸収することで、壁登りや二段ジャンプ、踏みつけなど可能となる行動が増えていき、それに伴い行動範囲が広がっていく。この辺りは、一般的な探索アクションのシステムである。
 オリにはライフセルとエナジーセルの2つのゲージがある。ライフセルは体力で、敵の攻撃や障害物に触れると減少し、無くなるとミスとなりセーブ地点から再開となる。エナジーセルは溜め撃ちやセーブポイントであるソウルリンクの作成、道を閉ざしているエナジーゲートの開放など様々な用途で消費する。いずれのゲージも、マップ内に配置されているアイテムを入手すると最大値を増やすことができる。
 また、敵を倒すかマップ上のアイテムで入手する能力セルを集めると、3種類の能力ツリーからオリの能力を強化することができる。強化はクリアに必要不可欠ではないが、より有利に攻略できるようになる。

 まず目を惹いたのが、その美麗なグラフィック。手塗りのグラフィックが織りなすニブルの森は今や暗闇に囚われてしまったものの、それでもなお豊かな自然の美しさをもってオリを出迎え、プレイヤーを魅了してくる。しかも、美しいのは背景のような静止画だけではない。道端の草木やキノコ、木の表面の苔など、数々の自然の小道具が冒険の先々でオリの動きに合わせて質感に満ちた動きを見せてくれて、画面の中に広がる世界への没入感を強力に高めてくれる。この、細やかな演出を惜しげもなく随所で見せてくれることに対して、製作者のただならぬ情熱を感じた次第であった。ただ、美麗すぎるグラフィックが、地形と障害物の見分けを難しくしたり、次に行くべき場所を分かりにくくしていた場所も多くはないが見受けられたのも事実であった。
 キャラクターの動きにも注目すべき点は多かった。この作品には主に3人の人物が登場するのだが、いずれも特徴的な動きをもってその人物の人となりを見事に表現していた。主人公のオリは小動物のような軽やかな動きが無垢で愛らしく、育ての親のナルは鈍重ながらもしっかりとした足取りで頼もしさに満ちており、グモの長い手足で移動する器用さは後の伏線となっていた。そして何より、オリの軽快で多彩な動きは、アクションゲームの醍醐味であるキャラクターを動かす楽しさを存分に堪能させてくれた。長老樹に出会う度に増えていく行動は躍動感にあふれたものが多く、オリの小さな体躯で文字通り縦横無尽な動きがとれるようになるのはただひたすらに刺激的であった。とはいえ、取れる動作が多くなると入力が被って誤動作することもあり、意図せぬ動作の暴発には結構悩まされた。特に、ジャンプ中に下入力で踏みつけに移行してしまうのは頻発した。入力の精度を高めればいいだけの話だが、緊張する場面ではつい意図せぬ方向に入力してしまうのであった。
 楽曲の美しさも特筆すべき点の1つ。オーケストラによる演奏により収録された数々の楽曲はどれも情感に溢れており、場面に応じて編曲された主旋律がそれぞれの場面にこれ以上ないほどの合致を見せていた。特に、クリスタルを復活させた後の脱出の場面で流れる劇的な曲は、その波乱に満ちた状況と合わせて強く印象に残っている。


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08月24日(月)
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