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雪さんすきすき日記
by 氷室 万寿
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■「Momodora」のこと
7月に入り、今年の後半が始まってしまった。
「Momodora」(Bombservice)が一段落したので感想を。
故郷の村の呪いを解くために、元凶である女王への元へと向かう司祭カホの冒険を描いた2D探索アクション。
操作は移動、近接攻撃、遠距離攻撃、ジャンプ、回避、アイテム選択、アイテム使用。近接はカエデの葉を振るう、独特の攻撃方法。地上では3回まで連続攻撃ができる。遠距離は弓で攻撃。ボタンを押しっぱなしにすることで最大3段階までの溜め攻撃となる。ジャンプは初期状態から2段ジャンプが可能。回避は無敵状態となり敵や罠をすり抜けることができる。アイテムは選択して使用することで消費し効果を発揮するアクティブ装備と、装備しているだけで効果を発揮するパッシブ装備がある。アクティブ装備は3種類まで、パッシブ装備は2種類まで装備できる。
ゲームの展開は、マップを探索して自機を強化するアイテムを収集しながらボスと戦い、勝利することで進行に必要なアイテムを入手するという過程を繰り返して探索範囲を広げていく、典型的な探索アクション。
探索アクションとして独特なシステムこそ無いものの、様々な要素がとてもしっかりと機能して堅実な作りをしている作品。
マップの広さはそれほど広くは無いのだが、その分探索の自由度はかなり高めに設定されており、進行上重要なボスもどの順番でも倒せるようになっている。探索の自由度の高さとマップの広さがほどよく合致しており、マップの構造も複雑すぎず単純すぎずで、初回プレイではいい感じに迷うことを楽しみながら、探索という行為を存分に堪能することができた。また、探索アクションには必須ともいえる行動範囲を広げるためのアイテムは実質的に2つしか無いのだが、それでも探索アクションとして十分に楽しめたことは、マップの構成がいかに優れているかを示しているといえよう。
自機の操作性は極めて良く、プレイ開始直後から快適に操作をすることができたのは大いに評価したいところ。自機は初期状態から2段ジャンプが備わっており機動力はとても高く、序盤から終盤まで一貫して探索を軽快に楽しむことができた。そして、そこに回避という操作を加えることで自機の動きがより洗練されて、操作する楽しさがより一層大きくなっていった。回避を積極的に使うほどに操作が楽しくなると共に操作技術も向上していき、自然と上位難易度に挑戦できるほどの技術が身についている。そのような正の循環に操作システムの絶妙さを感じた次第である。
戦闘では、まず道中の丁寧な敵配置にとても好感を覚えた。全ての場面において自機が攻撃を受けずに突破できるようになっており、立ち回りの楽しさを前面に押し出した調整は、道中に冗長さを感じさせなかった。そして、ボス戦も自機の操作を必然的に活用させる攻撃が多種多様に用意されていて、変化に富んだ戦闘を楽しませてもらえて、満足度はとても高い。さらに、ボス戦ではノーダメージで倒すとアイテムが入手できるという要素も備わっていて、これを狙うことで最高難易度でも通用する攻略を編み出すことができるという、ここでも正の循環が発生しているところにまた絶妙さを感じられた。
私の場合、ノーマルで回避操作を身に着けてハードに挑戦し、ハードで回避を駆使してボスをノーダメージで倒す攻略を編み出してクレイジーに挑戦して、クレイジーでボスをノーダメージで倒し続けてクリアまで到達したという経緯を辿っていった。各難易度を攻略していくうちに自然と上位難易度に通用する腕前になっていったことに、調整の妙を感じざるを得なかった。
演出面では、精緻に描かれたドット絵にやはり目を惹かれた。表情豊かな数々のキャラクターといい、緻密に書き込まれた背景といい、随所に職人技が光る完成度を誇っている。中でも、主人公のカホはさすが主人公だけあって様々な動きを見せてくれるが、そのどれもがなめらかで非常に気持ちがいい。一方の脇役たちも、しっかりした動きや表情で世界観の構築に大いに貢献している。グラフィックに関しては、一切の妥協を許さないような迫力すら感じられるほどであった。一方の楽曲は割と控え目で、正直なところあまり印象に残るものが無い。こちらはひたすら裏方に徹したという印象を受けた。
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07月01日(月)
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