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雪さんすきすき日記
by 氷室 万寿
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■特別展「元素のふしぎ」のこと
 ふとしたことから、現在国立科学博物館で特別展「元素のふしぎ」が開催されていることを知る。幼少の頃から元素大好きな私としては是非行かねばなるまいと硬く決意。ただ、一昨日に入場者数10万人を突破したという記事があることから予想以上に大盛況のようであり、また開催時期も終わりに近づいているので、今日急遽有給を貰って行ってきた。

 先ずは科学博物館を探すところから。いや、出不精なのと上野はいつも乗り換えで利用するだけなので、実は全く知らない土地だったりするのである。とはいえ、案内板を見たらすぐに分かったのだが、思っていたよりも建物は小さかった。

 入り口で入場券を買って中に入り、地下2階まで降りていよいよ展示の開始。最初は、宇宙や地球、人体などの元素構成比や、元素発見の歴史など総論的な内容。
 ここで興味深かったのは、元素に関する世界の記念切手。大別すると、発見の偉業を称えたものと、鉱物資源を誇示するものの2種類に分かれるのだが、どの切手も意匠的に見栄えが良く、切手に興味の無い私でも目が惹かれるものがあった。元素発見の歴史も浅く(幻のニッポニウムくらい)、資源にも乏しい日本ではこのような記念切手は発行されていないようだが、113番元素は日本で作られたとのことなので、将来的にはこれら展示された切手の仲間入りをするようなものが発行されるかもしれない。
 もう1つは、NEBURAという電子雲模型。立方体のガラスの中にレーザーでさまざまな軌道における電子雲の状態を描いた模型である。これが実によく出来ていて、学生時代にこの模型に出会っていればもっと理解できたかと悔やまれるほど。化学系の人以外だと何を意味するのか分からないかもしれないが、見た目にも美しいので普通に装飾品としても素敵な代物ではないかと。
 あとは90年前の周期律表も、テクネチウムがまだ発見されておらずマスリウムと表記されていたりと時代を感じさせるものがあり実に感慨深く、かなりの時間見入ってしまった。

 そこが終わると、この展示の本題ともいえる全118元素に関する展示となる。パネルには各元素の基本的な物理的特性や産出形態、活用方法が記され、実際に使用されている製品やその原材料などが実物で展示されている。水素や酸素、ナトリウムなど普段馴染み深いものから、希土類や白金族など現代社会を支えるいわば縁の下の力持ちまで、本当に全ての元素について展示がされているのである。あわせて、照明や顔料、宝石など身の回りで活用されている元素の紹介や、鉄やアルミニウムなどの合金を実際に触れたり、各種金属を叩いて音を鳴らしたり、同じ大きさのアルミニウム、銅、銀、金のインゴットを実際に持ち上げて重さを体験する展示など、様々な切り口で元素を体感できる展示も用意されている(金は本当に重かった)。元素という観点でこれだけの大規模な展示というのは滅多に無いであろう。
 元素の活用方法は書籍などである程度の知識は得ていたのだが、実物を見たり新たな活用方法を知ったりと得られる知見は非常に多かった。中でも、資源に乏しい日本が世界有数のよう素の産出国だったり、ついこの前まで北海道に世界最大のインジウム鉱山があったことなど、意外な資源を産出していることには本当に驚いた。そして、個人的なここの最大の見所は、各元素の単体標本。金や白金などの貴金属やアルミなどの一部の金属を除き、日常で単体の元素を目にすることは実は非常に少なく、貴重な機会なのである。金属元素はほとんどが銀色の金属光沢を持つもので一見無個性に見えるが、反応性の高いものは灯油で保護されていたり(リチウムはそれでも浮いていた)、精製方法や結晶形などに起因する形状だったりと、物性による特徴がしっかり現れているのは面白いものがあった。
 当然ながら放射性元素は実物の展示は無かったものの、テクネチウム製剤の包装などこれも普段では目にすることができないものも数多く展示してあり、これもまた貴重な機会であった。超ウラン元素になると、作ることそれ自体が目的のものが多く活用方法は激減するが、先日の第1種放射線取扱主任者の試験勉強で習ったアメリシウムやカリフォルニウムなどの活用方法がちゃんとパネルで紹介されていたのを見たときは何だか嬉しくなってしまった。


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09月13日(木)
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