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雪さんすきすき日記
by 氷室 万寿
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■「メルヘンフォーレスト」のこと
そして、戦闘システムと同じ位大きな魅力を感じたのが物語。舞台となる迷宮ではるか昔に行われた1人の錬金術師による狂気の実験とその成果、そしてその成果が生み出した過去の亡霊に巻き込まれたメルンちゃんの母親。迷宮の奥に進むにつれてそれらが徐々に明らかになっていく展開はとても興味を惹かれるものがあり、先に進むための大きな原動力の1つとなった。そして、その真実にメルンちゃんが触れたときから先の展開は、その過酷な運命と展開に心が痛まずにはいられなかった。そんな絶望の淵にいるメルンちゃんにとって、励まして道を示してくれる存在がどれほど有り難かったことか。この場面の演出は「ワイルドアームズ2」の最終戦を彷彿させるものがあり、大いに盛り上がった。
激しい戦闘の末に事態は収束するのだが、それでもメルンちゃんが失ったものはあまりにも大きすぎた。大団円とはほど遠い結末に呆然としながらスタッフロールを眺めていたが、スタッフロールの最後で母親がメルンちゃんに対して毅然とした口調で語り掛けたその内容に、母が子に託す想いという題材に非常に弱い私はここで胸が一杯になった。「ときのあくま」「ゆりかごのそら」と同じ感動を、この作品でもまた味わうことができたのである。
第1章の牧歌的な雰囲気からは到底思いもよらない、とても悲しい物語であった。この結末は恐らく変えられないのだろう。それでも、この母の想いと周囲の愛情があれば、きっと立派に育ってその想いを次につなげてくれるだろうと、この物語の先にある希望を確かに感じられた。
沢山の驚きと感動が詰め込まれたこの作品に触れられたことは嬉しいの一言に尽きるし、そう感じることができた自分をもまた嬉しく思う。
この作品との出会いと、この作品を紡いでくれた登場人物達と、そして何よりもこの作品を制作してくださったしなのさん、本当にありがとうございました。
06月28日(火)
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