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雪さんすきすき日記
by 氷室 万寿
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■「Unravel」のこと
ゲームの主題である、とある家庭の思い出を辿る点については、正に禍福はあざなえる縄のごとしであり、決して良いことだけでなく悪いこと、辛いことも実直に描かれているところが説得力を有していた。また、人の生涯を季節に例えて、若さが溢れる夏を経て成熟した秋、そして老いの冬を迎えるという流れが、ゲームの主題に一層の物語性を与えていたのも印象的であった。もちろん、冬の後には春が来るわけで、次の世代につながる象徴的な季節として美しく描かれていた。それらの物語を彩る楽曲も北欧の楽器により奏でられて、異国情緒あふれる雰囲気が醸し出されていた。
ただ、北欧の文化や慣習を知らないと理解できないような場面もいくつかあるように思えた。典型的だったのが、救急車が黄色いこと。愛する伴侶が心臓麻痺で倒れて運ばれる場面が最初は理解できなかった。あと、台詞が無く考察しているサイトも見当たらないので、自分の考察が本当に正しいのかどうか確証が持てないのも困りもの。故郷を破壊した鉱山の末路に何が起きていたのかがとても気になるのだが。
全実績を達成してクリア。驚くほど写実的に描かれた世界から受けた感銘、その世界を小動物の視点で冒険する楽しさ、人形ながら人間のような愛嬌のあるヤーニーの動き、そして毛糸という特徴的な要素を活かした手応えのあるパズルアクションなど、ゲームのどの部分をとっても高品位で丁寧に製作された、感動に満ちた本当に素敵な作品であった。
11月25日(水)
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