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雪さんすきすき日記
by 氷室 万寿
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■「Ori and the Blind Forest」のこと
で、私もその美しい雰囲気に騙されて、難易度の高さに舌を巻いた口である。序盤からどう考えても移動能力を得てからでないと突破できないだろうという場面をぎりぎりの動作で突破させることが続き、当初は製作者の正気を疑ったものである。しかし、その狙いが理解できた途端に、絶妙な操作で難所を乗り越えることを繰り返すのを楽しむ、手応え抜群のアクションゲームとして認識が改まった。この作品は難易度こそ高いもののセーブ地点が任意に設置できるので、難所を抜けたらセーブを繰り返せば地道ながらも先に進むことができる。小さな歩みでも積もり積もれば大きな手応えとなって返ってくるわけで、それをしっかりと感じさせるように難所が配置されている絶妙なマップ構成だったと、今振り返ってみると思う次第である。
それでも、水のクリスタルの脱出は過酷であった。まだ序盤で操作にもそれほど慣れておらずオリの機動力も低い上に、打撃という非常に癖の強い操作を駆使させられるマップは、挫折するには十分すぎる難易度である。しかし、前述の劇的な曲が折れそうな心を奮い立たせてくれて、最後まで頑張ることができた。この過酷な難易度だからこそ表現できる演出というものを知ることができたのは、非常に大きな収穫であった。なお、その後の2つのクリスタルの脱出はここに比べると遥かに簡単で、拍子抜けしてしまった。
あと、タイムアタックの攻略のために上級者の動画を拝見したところ、移動からアイテムの回収からその効率の良さに感服したのだが、それは裏返せばマップの完成度の高さを物語っているとも言える。初回プレイ時には3時間以内でのクリアなど不可能だと思っていたが、それを可能とする経路がしっかりと用意されている周到さは流石であった。特に、打撃を活用した近道の数々はこの作品ならではであり、それを用意する方も見つける方も実に大したものである。この作品に限らず、探索アクションでタイムアタックの実績がある作品は、システムを活かすようにマップが作り込まれているものが多く、その度に感心させられている。
物語は大半はキャラクター同士の台詞の無い掛け合いによって語られて、文字による情報は限られている。なので、全てを把握しているのか自信は無いが、光と闇、そして親子の愛情が主題として挙げられているように感じられた。精霊樹とオリ、オリとナル、そしてクロと親子の愛情が生んだ悲劇の連鎖が今回の出来事の原因であり、そして収束をもさせたのではなかろうかと。それにしても、この作品のいわば敵役であるクロへの仕打ちは本当に哀れでしかない。この出来事での最大の被害者は精霊樹ではなくクロであり、逆に精霊樹は加害者でもあるので、最後まで報われなかった結末には今でも納得はできない。
ところで、幕間のデモはムービーに依らずキャラクターの動きや演出効果だけで表現されているのだが、これがムービーに匹敵するどころか逆にムービーでこの表現は難しいのではと思わせるほどの内容であり、この作品の表現力の高さを雄弁に物語っていたのも非常に印象的であった。
初回クリアは12時間ほどで、全実績は35時間で達成。さすがに死亡回数0でのクリア実績はセーブデータの巻き戻しをしないと無理だったが。
とある紹介記事に「雰囲気ゲーだと思ってプレイしたら見事に騙された」という感じに書かれていたが、至極納得しかない。しかし、美麗な演出と手応えのある攻略の両方を楽しめたのだから、大変お得な内容であったといえよう。過酷な難易度だった故に印象に残った場面も数多くあり、プレイして良かったと思える傑作であった。
なお、この作品はしぃゲーで紹介されていたのをきっかけにプレイした。しぃゲーは私が未プレイの良作を紹介してくれる頻度が高く、大変助かっている。
08月24日(月)
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