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雪さんすきすき日記
by 氷室 万寿
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■「MagicScrollTactics」のこと
 そして、SRPGなので成長要素があり、レベルを上げたり装備を揃えてナシュとナシュが召喚する5種類の魔物を育てて強化していく。また、強化要素としてスキルツリーやジョブチェンジも備えている。アビリティ(スキル)は、レベルアップで入手したAP(アビリティポイント)を割り振って習得するスキルを選択し、戦闘を重ねてスキルの経験値が溜まると習得できるというシステムになっている。ジョブチェンジは5つのジョブのうち、魔物の種族別に決められたいくつかのジョブに変更できる。

 横視点の2Dマップというのが、今までありそうでなかなか見当たらなかったシステム。クォータービューのマップであれば高さの概念をもった平面マップというのも存在するが、横視点にしたことで高さの概念がより重要になっており、それが作品独自の戦術を要求してくる。高所にいれば攻撃の威力は増し、敵の攻撃の命中率も下がるので、高所に移動しやすい機動力の高いユニットや飛行ユニットが有利となる。一方で、高威力の魔法は相手と同じ高さ以下でないと当たらないので、不利になる低所に位置しなければ魔法の威力を発揮できない。ユニットの能力を発揮するためにどこに位置どるか、最初のうちはそれがなかなか見えてこなくて四苦八苦したが、理解できるとそれを考えるのが俄然楽しくなってきたと共に、それこそがこの作品の楽しさであることも理解できた。
 難易度は詰将棋というほどではなく恐らくSRPG慣れしている人であればそれほど難しくはなさそうだが、力押しできるほど甘くはないという印象。特に後半になると難易度がかなり上昇して、初見で絶望しか抱かなかったマップもいくつかあった。しかし、そういう厳しい状況においても試行錯誤を重ねて突破口を切り開き、遂にはクリアまで到達して大きな手応えを得るという、SRPGの醍醐味は大いに堪能させてもらえた。あと、私はジョブチェンジは全く活用せずにプレイしてしまったが、この辺りを活用できれば攻略の幅がもっと広がりそう。また、前述のとおりレベリング無しでもアビリティの選択が適切であればちゃんとクリアできるという丁寧な調整には大いに好感が持てた。ただ、その進め方は結構苦労も多かったので、無難にフリーバトルでレベリングして進めた方が楽だしアビリティも活用できてより楽しめるはずである。
 物語は魔女の復活を阻むべく4体の魔女の弟子達と順に戦うという、実にオートリ電子らしい単純明快で王道的な内容。だからといって凡庸かというと決してそんなわけではなく、個性的な弟子達を始めとするキャラクターの振る舞いと様々な起伏で最後まで楽しませてもらえた。第三勢力として邪魔をする海賊も、弟子達に負けず劣らずの存在感があり、物語に抑揚を付けるいい要素となってた。そして、会話において時折見受けられるぶっきらぼうさがこれまたオートリ電子らしくてとてもいい。あと、物語ではカコが居なくなったり再開したりと、ヒロインらしく色々と大変な目に遭っているが、その度に私が悲しんだり喜んだりと、私が忙しい展開でもあった。

 個人的には、キャラクターデザインもこの作品の大きな魅力の1つになっている。オートリ電子では以前にも私好みの東方作家さんがキャラクターデザインをした作品をいくつか製作してきたが、この作品も私が大好きな東方作家さんの茹でピーさんがキャラクターデザインを務めている。ナシュの中性的な容姿やカコの幼さが残る顔立ちなど人間キャラの魅力もさることながら、召喚する魔物が獣人ということで、ここで茹でピーさんの本領が遺憾なく発揮されており、適材適所とは正にこのことかと。特に羽根っ娘や人魚といった女性ユニットの可愛さは際立っており、この作品を楽しむ大きな要素になっていた。男性キャラも含めて、キャラ絵に関してはまるで文句のつけようが無いほどの完成度である。それにしても、海賊の首領であるレビの衣装のきわどさに、部下たちもいろいろと大変だろうと思ってしまう。あと、説明文にちゃんと彼女と書いてあるのに、実は途中までナシュが男だと思ってた。いや、長髪だけど顔立ちは中性的だし、胸も(稲妻突き)。

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05月05日(土)
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