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雪さんすきすき日記
by 氷室 万寿
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■「箱庭えくすぷろーら」のこと
また、至る所に込められている遊び心にも楽しませてもらえた。地名は基本的に駄洒落で統一されていて、印象に残りやすい。街の人との会話は、頭に乗ったらちゃんと反応したり、子供が辛辣なことを言ってきたり、そもそも言ってること自体がおかしかったり、女性に後ろから接触したらお尻を触ったと言われて戦闘に入ったり、その反応の多彩さに全くもって油断ならない。アイテムの説明も、武器や防具は普通だが、こと回復アイテムになるといろいろとネタが込められていて、使うかどうかは別としてとりあえず説明文は読んでしまう。ワールドマップにも1体ずつ隠しキャラがいて、見つけたときの反応も可愛いものからメタなものまで色々。実績が100種類と数多いのも、遊び心の一環であろう。実績自体は普通にプレイしていれば解禁されるものから、街の人から嫌われないと達成できないひねったものまで様々で、ゲームを進める上での丁度良い刺激となった。箱庭の世界は、愛嬌と洒落に富んだ世界でもあった。
クォータービューとなると大きな障壁となるのがその操作性だが、移動に関して入力方向と移動方向をそのまま対応させたのは、この作品では大英断かと思われる。もちろん、あの45°ずれた操作系がアクションの面白さを高める場合もあるが、この作品はそこに気を囚われずに箱庭の世界を自由気ままに冒険するのが似合っている。また、斜めからの俯瞰視点も、箱庭のような雰囲気作りに一役買っているように思えた。一方で、クォータービューのシステム面での活用は一部のマップでのパズル要素程度で、あくまで演出面での活用が中心であるように感じられた。
楽曲は専用の曲が多数用意されていて、作品との調和も見事。最初のダンジョンの曲など、おもちゃ箱を連想させるような明るく軽快な曲で、箱庭という主題を印象付けるのにぴったりである。それ以外にもエスニック調やケルト調、エキゾチックにアンビエント、果てはロックまであり、その曲調の幅の広さにはただただ驚かされた。フリーゲームの楽曲は作曲まで手が回らないことが多いが、この作品は元々無音だったものを、この完成度で音が無いのは勿体ないと作曲者が名乗り出たとのこと。なので、作曲は制作とは別の方が行っているが、作品の趣旨や雰囲気をしっかりと汲み取り作曲をしていることが、曲のコメントから読み取れる。こういう出会いは本当に稀であろうが、幸運であったとしか言いようがない。
実績100%でクリア。プレイ時間は8時間程度だったが、とても密度の高い内容で満足度は十二分。製作者の情熱と愛嬌と洒落と遊び心が一杯に詰まった箱庭の世界、存分に堪能させていただいた。
12月05日(月)
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