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雪さんすきすき日記
by 氷室 万寿
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■「メルヘンフォーレスト」のこと
 迷宮内をタップで移動して出口に到達すると次の部屋に移動できる。出口は普通に到達できることもあれば、スイッチなどの仕掛けを作動させたり、そこに至るまでの罠を掻い潜る必要がある。迷宮は一方通行で、一部を除き前の部屋に戻ることはできない。出現する部屋の構造がランダムに選ばれる区間がある、時間で食料が減少して食料が無くなると次は体力が減少する、未鑑定の物質を生還して持ち帰ると鑑定して武器や防具、売却用アイテムが入手できるなど、ローグライクなシステムも一部採用されている。また、終盤になると調合により薬が作成できるようにもなる。
 戦闘もタップのみで操作。戦闘はランダムエンカウントで発生し、1対1のリアルタイムでのターン制。すばやさの値によって行動できる順番決まり、操作は攻撃、防御、回避の3種類。攻撃は普通に攻撃し、防御は被ダメージを軽減、回避は攻撃自体を回避する。防御と回避は一定時間持続し、その間に受けた敵の攻撃に対して効果を発揮する。これを見ると回避の優位性が突出しているが、敵の攻撃を受ける間際に防御をするとパリィが発動し、敵が麻痺して奥義と道具が使用可能となる。奥義は通常攻撃の何倍〜何十倍もの攻撃力があり、決着を早めることができる。
 各階層にはボスが登場し、倒すことで次の階層へ進むことができる。

 第1章でも様々な驚きを提供してくれたが、冒頭でメルンちゃんの知られざる過去が明らかになり、更には意外な人物もその過去に関わっていたりと、第2章の始まりはそれらをさらに上回る驚きであった。1つの作品で全く異なる2つのゲームシステムを盛り込んだことにも、随分と大胆なことをすると思った次第である。
 迷宮探索は、隠し通路や罠といった種々の仕掛け、アイテムを効率的に入手するための消費アイテムの管理、鑑定によるアイテムの収集など、目新しい点は乏しいものの基本的な要素はしっかり押さえている感がある。アイテム図鑑のコメントがいちいち面白くて、アイテム収集にも熱が入る。ただ、罠回避や泉の泉質(回復か毒か)を調べるアイテムは、面白いもののその仕掛け自体が少なすぎて、全然活用する場が無かったのがやや惜しいと感じたところ。
 一方で、戦闘システムは非常に面白い。戦闘の基本は、敵の攻撃をパリィして奥義を叩きこむという流れだが、敵の攻撃の中には防御不能なものもあり、また敵の行動が表示されてから攻撃が来るまでの間隔も様々である。中には、行動が表示されてから即座に(本当に一瞬で)攻撃が来ることもあり、敵の行動を見極める緊張感は半端でなく高い。また、その緊張感の後にパリィで敵を無力化して高威力の攻撃を叩きこんで優越感を得られる点も、抑圧と開放の釣り合いが上手に取れている。タップ1つでここまで緊張感のある戦闘を楽しめることにはただひたすら驚嘆するしかなく、おかげで道中の戦闘では全く退屈することが無かったし、敵の出現を抑えるアイテムの聖水もまるで出番が無かった。ボスも迂闊に攻撃すると反撃を喰らうなどパリィ前提の調整となっており、攻撃の機会をどう得るかを考えるのが大層面白かった。
 もう1つ緊迫感を高める要素として、体力回復の手段が乏しいことが挙げられる。この手のダンジョン探索RPGでは一般的には体力回復アイテムが序盤から使用できるものだが、この作品では終盤になっても十分に体力を回復できるアイテムが存在しない。その代わりに、奥義に体力を回復させるものがあり、これが回復の主体となる。かなり大胆な調整ではあるが、そのおかげでパリィを狙う意義も格段に大きくなり、結果的に緊迫感が増すこととなっている。
 この単純ながらも緊迫感溢れる戦闘システムは作品の大きな魅力の1つであるが、操作を単純化したために難易度がプレイヤーの技量に依存するところも極めて大きく、第1章に比べるとその間口は決して広くはない。第2章の開始時に、合わないと思ったら即座に引き返すことを勧めていたのも納得である。


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06月28日(火)
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