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雪さんすきすき日記
by 氷室 万寿
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■「Dungeons&Darkness」のこと
 生い立ちが謎に包まれたダンジョン、徘徊する凶悪なモンスター、剣と魔法による戦い、謎と宝箱と罠、残された意味深な文章。これぞ正統派ダンジョンアタックという要素が満載で、製作者の想いと意気込みがこれでもかと伝わってくる内容であった。
 ダンジョンの構造材やモンスターなどのグラフィックの美しさは、さすがに商業作品の水準とまではいかないものの、個人製作とはとても思えないほど高品位で、暗闇に浮き上がる照明や月明かりに照らされた石造りの回廊など幻想的な光景に息を呑むことも多々あり、高い臨場感が味わえた。おかげで、フルスクリーンでプレイしたときの没入感もまた高く、プレイ中は完全に剣と魔法の世界にのめり込んでいた。ただ、やはりそれなりのPCの能力は必要とするようで、画質を最上位のFantasticにしたら終盤のダンジョンで激しいコマ落ちが発生してしまい、一段落とさざるを得なかった。とはいえ、使用しているVGAがGeForce660Tiと古いせいもあり、このような同人ゲームに対応するためにも更新をしなければと思わされた次第である。
 戦闘は基本的に剣と魔法のみで独特のシステムがあるわけでもなく、一人称視点のアクションRPGでは簡素な方ではあるかと。ダンジョンに生息するモンスターは、私でも知っているくらいの有名どころが、ざっと数えても20種類以上は登場。行動パターンがそれぞれ独自に設定されており、種族の特徴も良く表していることから、各モンスターへの対処を組み立てて戦っていくという攻略面での面白さも十二分に楽しませてもらった。スタミナの要素があるために、攻防に緩急が出来るのも面白いと感じたところ。あと、地上を歩く敵に有効なトラップツールというアイテムが、罠にかかった敵は一撃で倒せるという要素がとても痛快。重量が重いのであまり多くは持ち歩けないが、巨大なトロールですら一撃で倒せるというのは愉快極まりない。罠にかかった敵は動きを止めるので、その容姿をじっくり観察するのにも役立ったが、手の込んだモデリングには感嘆するばかりであった。3つ目のダンジョンまでは両手武器を使用して戦っていたために、シールドバッシュの活躍の場面はあまり無かったが、これも使いこなせると一方的な攻撃ができて面白そうな要素ではある。
 ボス戦ではドラゴンのような大型の翼竜が生き生きと動き回り、その迫力は圧倒的。大きな手を振りかざし、口からはブレスを吐くなど、その巨体から繰り出される攻撃はもちろん高い攻撃力を誇り、ボスの威厳をこれでもかと味わう羽目になった。コーラス入りの音楽が流れるという演出も、常套手段ではあるが緊迫の度合いを一層高めてくれて、ボス戦での高揚感は半端でなかった。ただ、ラスボスが一番弱かったのが非常に残念。それまでのボス戦がどれも大迫力の戦闘だっただけに、最後がイベント戦的なのはどうにも締まらない気がした。
 ダンジョンの構造は複雑だが、クエストに応じて何らかの道標ができたり近道が用意されるので、クエストに集中できるのはとてもありがたかった。そして、どのダンジョンも構造や仕掛け、登場する敵の特徴が明確で、どれも新鮮な気持ちで探索できた。3つ目のダンジョンまでは人口の建造物で矩形の構造をしており、そろそろ慣れてきた頃に最後のダンジョンで曲がりくねった構造を出してきたところは流石。あと、ダンジョンの探索の大きな楽しみとなっていたのが、調度品が入手できる謎。リドルという表記にここでも正統派を貫いていることを感じさせるものがあり、どれもちょっと考えれば解ける程度の難易度に程よい手応えを楽しめた。

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05月06日(金)
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