ID:94793
窓のそと(Diary by 久野那美)
by 久野那美
[41060hit]

■ガス屋さんが来た。
なぜかガスが止まってしまって・・・、ガス屋さんに電話したらすぐ担当のひとがきてなおしてくれた。引越しのときも来て説明してくれたひとなんだけど、ものすごく親切。ガス屋さんが来るのはちょっと嬉しい。わからないことをいろいろ聞けるから。電気屋さんは町中にあるけどガス屋さんは少ないので、ガス製品についての正確な知識を仕入れる場所がなかなかないのだ。このひとは何を聞いてももほんとうに丁寧に教えてくれる。しかも、ガス屋さんのつなぎが猛烈によく似合っている。
昔、国際結婚した友達の家に遊びに行って、ガスオーブンで焼いたグラタンをご馳走になって以来、いつの日かガスオーブンを買おう!と思っていたので、この機会に根掘り葉掘り聞いてみた。
「オーブンのことについて教えてほしいんですけど・・」
というと、その場で資料を出してきていろいろ教えてくれた。
きれいなカタログもくれた。
「オーブンにはガスのと電気のとがありますが、ガスの方のいいところと悪いところを教えてください。」と言うと、
「みなさん、ガスは危険だと思っておられるんですけど、そんなことないんですよ。今日、僕がこうやってここへ来ているように、ちょっと何かあったらすぐ止まるようにできていますし・・・。電気代よりも安くつきますしね。何と言っても火力が違いますから、炊飯器なんか特に差がでます。ガスで炊いたご飯はおいしいです。火力が強いと言うことは、調理時間が短いということでもあるんです。だいたい、電気の半分の時間で済みます。」
ガス屋さんはものすごく、電気屋さんにライバル意識・・・というかコンプレックスをもっているようだった。無理もないか。あれだけ、情報量が違うんだから・・。
「あの、よいところはわかりました。火力と光熱費ですね。では、電気のオーブンの方がいいとしたら、どんなところですか?ガスではなく電気の製品を選ぶひとたちは、何を理由にガスを敬遠するんですか?」
ガス屋さんは、悔しそうに、しかし、明瞭に教えてくれた。
「・・・・・・まず、価格が違います。」
「ガスのオーブンの方が、高いんですね。」
「そうです。でも・・・!」
ガス屋さんはさっきくれたカタログを開いて説明してくれた。
「カタログをごらんになって、ここのところの値段を見て、<こんなに高いなら無理ね>とか思わないでほしいんです!」
「・・・はい。」
「定価で売ることは、まず絶対といっていいほど、ありません。」
「そうですか・・・。」
「値段を見てみなさんひいてしまうんですが・・・(電卓を出し、すばやく計算)、大体2割から3割引きが普通だと思って頂いていいです。春にはセールもありますし・・・。」
だったらその値段を定価にすればいいのにと思うんだけど、そういうわけにはいかないんだろうか・・・。
「じゃあ、電気のよりちょっと高いくらいですね。それで、光熱費が安くて時間も半分なんですね。だったらみんなガスにしそうなのに・・・」
ガス屋さんは、とても悔しそうに言った。
「そうなんですよ・・・でも、みなさん、電気の方が使いやすいんでしょうね。」
「どうしてですか?」
「まず、さっきも言いましたように、ガスは危険だ、というイメージがあるからです。僕たちから言わせると、電気だってじゅうぶん危険なんですけどね。」
「止まりませんしね。」
「そうです。」
「じゃあ、電気製品のほうがメジャーなのは、ガスが誤解されているからなんですか?」
「いえ・・・・・その・・・電気のコンセントの口は各部屋にだいたいありますけど、ガスは少ないでしょう?たいてい台所だけだし、しかも2つくらいしかない・・・これでは電気製品の方が使いやすい、と思われても仕方がありません。」
「なるほど。」
これはとても納得のいく理由だった。
現代の日本家屋そのものが、ガスを拒絶するようにできているのだ。

ガス屋さんは、とても丁寧に、かつ嬉しそうにガスの説明をしてくれたあと、「春のセールの案内、また持ってきますからね・・」といって帰っていった。

私は面倒なのが嫌いなので、早く済むなら早いほうがいいと思ってしまう。
ガスだと半分の時間で済むとは知らなかった。

[5]続きを読む

01月07日(火)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る