ID:94789
きゅっ。
by きゅっ。
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■帝国主義?
 労働は、PCとクルマをつくる以外にないとする。
 また、A国もJ国も40人ずついるとする。

 A国なら、
   PCをつくるのに  一台2人
   クルマをつくるのに 一台8人 必要
 J国なら、
   PCをつくるのに  一台4人
   クルマをつくるのに 一台10人 必要であるとする。

 この場合、A国がPCをつくるにもクルマをつくるにも優位である。これを絶対優位という。

 しかし、この場合でも、A国が貿易をまったくせず、自国のみで生産を行うことは、A国の利益にはならない。「どちらの生産ともに絶対優位を持っていたとして、貿易をしたほうが結果的にはどちらの国にとっても得になる。」ことを説明したのが、リカードの「比較生産費説」である。

 A国では、全員がPCをつくると、PCが20台、全員がクルマをつくると、クルマが5台出来る。J国では、全員がPCをつくると、PCが10台、全員がクルマをつくると、クルマが4台出来る。

 つまり、
 A国で、
   PC20台(=40÷2)のとき、クルマ0台(=0÷8)
   PC0台(=0÷2)のとき、クルマ5台(=40÷8)
 J国で、
   PC10台(=40÷4)のとき、クルマ0台(=0÷10)
   PC0台(=0÷4)のとき、クルマ4台(=40÷10)である。

 ここで、A国で、PCに24人、クルマに16人割り当てたとすると、PC12台、クルマ2台という生産になる。J国で、PCに20人、クルマに20人割り当てたとすると、PC5台、クルマ2台という生産になる。

 つまり、
   A国=PC12台(=24÷2)、クルマ2台(=16÷8)
   J国=PC5台(=20÷4)、クルマ2台(=20÷10)という結果になる。
 
 しかし、@まず、A国がPCに特化してPC20台つくり、Aつぎに、J国がクルマに特化してクルマ4台をつくり、BA国のPC7台とJ国のクルマ2台とを交換すると、

   A国=PC13台(=20−7)、クルマ2台(=0+2)
   J国=PC7台(=0+7)、クルマ2台(=4−2)という結果になる。

 すなわち、クルマの台数は、変わりないが、PCの数を増やすことができ、どちらの状態も悪くすることなく、どちらの状態も良くする結果を得ることができる。

 以下、比較優位という考え方を使って説明する。

 クルマの場合、
   A国では、クルマを一台つくると、4台PCをあきらめ、
   J国では、クルマを一台つくると、2.5台PCをあきらめる。

   8(人/クルマ台数)÷2(人/PC台数)=4(PC台数/1クルマ台数当たり)
   10(人/クルマ台数)÷4(人/PC台数)=2.5(PC台数/1クルマ台数当たり)

 すなわち、A国のクルマ生産は、J国よりあきらめるものが多いということになる。言い換えると、クルマをつくると、J国より損をしていることになる。

 PCの場合、
   A国では、PCを一つつくるごとに、0.25台クルマをあきらめ、
   J国では、PCを一つつくるごとに、0.4台クルマをあきらめる。

   2(人/PC台数)÷8(人/クルマ台数)=0.25(クルマ台数/1PC台数当たり)
   4(人/PC台数)÷10(人/クルマ台数)=0.4(クルマ台数/1PC台数当たり)

 すなわち、J国のPC生産は、A国よりあきらめるものが多いということになる。言い換えると、PCをつくると、A国より損をしていることになる。

 A国は、どちらも絶対優位をもっているが、クルマをつくるには、J国はA国より得ということになる。この「得」こそが「比較優位」の意味である。比較優位は、相手国との生産力を直接比べるのではなく、あきらめる量の割合を比べているのである。

 ・・・と、自国に有利な商品を海外市場で捌くために、この理論は、考えられたんだそうだ。

【リカードの「比較生産費説」】

>> 病室で妄想する経済理論

11月13日(水)
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