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脚本家・今井雅子の日記
by いまいまさこ
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■ としょかんのだってこと、わすれてたの。(前編)
昨夜のこと、リビングの片隅で,ジョリ、と遠慮がちに紙に鋏を入れる音が。しばらくして、たまがわたしの腰に抱きつき、無言で顔を押しつけてきた。
こういうときは、「何かいけないことをして、しかられるんじゃないかという不安と泣きたい気持ちがまじっている」ことが多いので、「どうしたの?何かしちゃった?しからないから言って」と促すと、さんざんためらってから絞り出すように「としょかんのだってこと、わすれてたの」。
どうやら図書館で借りた資料に傷をつけてしまったらしい。どれどれと見に行くと、子どもの歌を集めたCDの歌詞カードに黒い色鉛筆で落書きが。「ボノロンをかいてみよう」という呼びかけに応じて描いてしまってから、あ、借り物だったと気づいた様子。
とっさに「なかったこと」にしようとして鋏を入れたものの、ますますいけないと思い直して鋏を止めたようで、端から数センチが切れていた。
さて、こんなとき、親はどうするべきか。
起きてしまった物語は変えられな〜い。けれど、物語の続きは、あなたの手の中にあ〜る。(by 朝ドラ「つばさ」玉木加乃子)
まずは、やってしまったことは間違いだったという認識を親子で共有。その上で、どうしようかと親子で考えてみる。
色鉛筆を無理矢理消しゴムで消すと汚くなりそうだし修正液で消すのも凸凹になる。切れたところをテープで留めるにしても、うちにあるテープより図書館のテープのほうがいいかもしれない。
一緒に図書館に行って、落書きと鋏を入れたことを正直に話して、一緒に謝って、どうするのがいいか相談しよう、ということに。
借りたものを大切に使わないと、どんなことが起きてしまうのか、子どもと一緒に体験して、これからは気をつけようという教訓を一緒に得る。
失敗は、やってしまったと本人が気づいた時点で「痛み」は味わっているわけで、しかって追い討ちをかけるより、その失敗の痛みを分かち合うことで、繰り返しにブレーキをかける。
……というのが、親にできること、でしょうか。
物語の続き(後編)は、後日、図書館にて。
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02月27日(水)
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