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脚本家・今井雅子の日記
by いまいまさこ
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■ おじゃる丸スペシャル「銀河がマロを呼んでいる」試写

11月の頭に脱稿した今井雅子初の長編アニメ脚本、おじゃる丸スペシャル「銀河がマロを呼んでいる〜ふたりのねがい星」。大地丙太郎監督が怒濤の勢いでコンテを描き、正月返上で作画し、2月中旬のアフレコのときは、色はついているけれど動いていない絵や、まだ色がついていない絵があちこちに。
今回はCGを多用していることもあり、全部に色がついて動いたのは、今日の試写の前日の真夜中だったそう。
ほんと、アニメって時間と労力がかかるものなのですね。
本編54分はもちろん知っている話だし、アフレコでも観ているのだけど、絵が完成し、音楽が合わさり、効果音も加わり、いっそう厚く深くなって、いろんな意味でぐぐっと来た。伝えたかったことがより伝わってきたし、9月に声をかけられてから物語を積み上げていった頃を懐かしく思い出したりして。
星野源さんの主題歌を聴きながら、わが子(脚本)の成長した姿に目頭を熱くしていると、続く6分のドキュメンタリー。おじゃるが被災地の子どもたちを訪ねた模様を紹介したもので、たまと同い年ぐらいの子どもたちがきらきらした目でそれぞれの願いごとを披露する。緩めたまま締め忘れた目元の蛇口に涙が押し寄せた。
「願いごとがある」ことが、チカラになる。
そんなことを書きながら思っていた。実際、台詞にも起こしてみたけれど、それは言葉で表すのではなく、作品から受け止めてもらえたら、ということになった。それを、このドキュメンタリーの子どもたちは、小さな体をいっぱい使って訴えかけていた。
本編を見る方、どうか、その後のドキュメンタリーまで見届けてください。本編で伝えたかったことが、より深く届くはず。
ところで、ドキュメンタリー映像の冒頭で宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』の絵本が何冊か大写しになるが、これは、わたしの義父が私蔵しているもの。義父が賢治さんの弟の清六さんと親交があり、今も花巻の宮沢家と親しくしている関係で、わたしも賢治さんゆかりの方々とおつきあいをさせてもらっている。
2003年に賢治祭を訪ねたときに挨拶をする機会があり、「花巻の空気に触れて、物語の種が降ってきました。いつかこの種を花咲かせたい」と話した(>>>2003年09月21日(日) 花巻く宮澤賢治の故郷 その2)。今回「おじゃる丸を銀河鉄道の夜で」というお話が来たとき、導かれたようなご縁を感じて、ぜひと二つ返事で引き受けた。
娘のたまが今おじゃる丸と同い年というのも、なにかのご縁。
日頃から「書き鉄」を自認していることも、これまたご縁。
そして、こんなご縁が積み重なった作品は、気持ちよく進む。
そんな話を記者会見でもした。おじゃる丸とカズマにも会えて、感激。

放送はNHK Eテレで3/20(火・祝)18-19時。あらすじはおじゃる丸スペシャルページ、おじゃる丸(平日18時からEテレで放送。1話10分)の予習はおじゃる丸公式サイトにて。
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03月07日(水)
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