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脚本家・今井雅子の日記
by いまいまさこ
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■ 「日常はドラマの宝庫」三原台中学校講演
母校の堺市立三原台中学校で「日常はドラマの宝庫」と題して講演。両親とたまと30分前に到着すると、授業参観の最中だった。正門脇には講演の看板。そこを抜けると体育館。

正門と体育館の間のスロープを下ると、校舎。驚くほど変わっていないが、年はとったなと感じる。中学校が出来たのは、わたしが生まれた翌年、昭和46年だという。


玄関で一年のときの担任だった吉田恵子先生と、理科の武田先生と再会。吉田先生はわたしに多大な影響を与えてくれた恩師。今日の講演をぜひ聞いてもらいたくて、教頭先生から連絡を取ってもらったのだった。吉田先生も武田先生もわたしが脚本を書いていることを知らずに「てっぱん」を観ておられたそうで、同じくてっぱんファンという武田先生のお嬢さんも来てくださった。

校長室に顔を出した後、受付中の会場へ。「ビターシュガー」の葉書を配っていただく。先日の三国丘高校での講演は生徒向けのセミナーで、今日は父兄と地域の方向け。わたしの同級生たちは若いほうで、その親世代の方の姿が目立つ。何年ぶりかに会う同級生や、誰々ちゃんのお母さんらと次々挨拶を交わす。

妹の同級生で、『ブレーン・ストーミング・ティーン』の点字訳を完成させたばかりのおーちゃんが、本を持って来てくれた。ちょうどブレストの話をするので、講演の間借りることに。

PTA会長さんの挨拶に続いて、11時前に講演開始。小説『ブレーン・ストーミング・ティーン』に登場する三人の大人をわたしの出身小学校、中学校、高校から高倉さん、三原さん、三国さんと名づけた話で、笑いを取り、滑り出しは上々。


ドラマでは佐藤藍子さんが演じた三原さんの台詞、「宝物はあなたの中にある。それを宝の山にするのも、宝の持ちぐされにするのも、あなた次第」から今日の講演タイトル「日常はドラマの宝庫」をつけたと話し、「脚本家はつなげるのが仕事」「では具体的にどうつなげてきたか」とこれまでの作品がどう生まれ、次の仕事にどうつながったかを話す。


「つなげるというのは、ネタの引き出しを使いこなすこと」「では、その引き出しをどうふやすか?」ということで、「好奇心(何?)×想像力(なんで?)=感動(おもろい!)の法則」を紹介。この積み重ねがネタの蓄積になる。


「つなげる力は筋トレできる」ということで、おすすめしたのは「日記」をつけること。わたしが小学6年生の頃から中学3年ぐらいまでにつけた日記と交換日記約80冊の画像を披露し、中学一年生で最初につけた4月某日の日記の内容を紹介した。


掃除の時間、クラスの男の子X君に「お前、アニメーターになんかなられへん」と言われたことを根に持って大学ノート2ページにわたって恨みつらみを綴ったもの。実はアニメーターになりたいと卒業文集に書いたのは、わたしの隣の子だったのだけど「Xはわたしの夢が何であってもバカにするつもりだったのだ」と怒ること怒ること。感情はこんがらがってるのに、最後には「こんなことも、きっと、いつの日にか、よい思い出となるだろう」とまとめている。

なんだか面倒くさい中一女子なのだった。

その頃日記は担任の吉田先生に見てもらっていて、吉田先生からは「X君は今井さんに興味があるのですね」と楽天的な赤字コメントがあった。

講演では触れなかったが、わたしが9割5分書いて吉田先生が数行のコメントを返すアンバランス交換日記は、一学期の終わりに終わりを告げた。先生がわたしの日記を面白いよと他の先生方に見せたことに憤慨して、見せることをやめたらしい。

先生はその後何度も催促してくれたのだが、わたしは意地になって拒み続けた。


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10月29日(土)
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