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脚本家・今井雅子の日記
by いまいまさこ
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■ 「たべたらうしになる」「ゴッキーズ」たま4才11か月
早いもので、5才の誕生日まで、あと1か月。

生まれたときはふんぎゃふんぎゃとしか言わなかったたまが、今やよく喋ること喋ること。

お話を作るのも上手になって、これはわたしに似たに違いないと思っているのだけど、力士が店員でメニューがちゃんこ鍋とちゃんこパフェしかない「おすもうデニーズ」の時代を経て、この1か月は「たべたらうしになる」と「ゴッキーズ」という二つの新シリーズが誕生した。

「たべたらうしになる」話は、6月26日、サンリオピューロランドのある多摩センターへ向かう電車の中で生まれた。

「食べてすぐ寝たら牛になるよ」と諭したわたしに、「そのお話して」。そう来るかと苦笑しつつ、たまのボーイフレンドのりお君が食べてすぐ寝て牛になる話をすると、大受け。牛になる人を次々変えていくうち、新しい設定が生まれた。

● 牛になるときは、足から白と黒のまだら模様になる。そのまだら度合いで「牛度」が測れる。半分まだらになったら「牛度50%」。
● うちわであおぐと牛度が進む。
● 牛になると「ミルク出したくなっちゃった」と言ってミルクを出す。人によってフレーバーが違う。
● 搾り立ての牛乳でアイスやバターを作る。
● 牛になった人は元に戻ったとき、牛になっていたときの記憶が消えている。

ある日、おおさかじいじとばあばが牛になり、じいじ牛とばあば牛から採れたチョコ牛乳と苺牛乳でアイスを作る話に大受けしたたまは、大阪のわたしの実家に電話。「じいじばあば、とうきょうにきて、たべてすぐねてください!」

おすもうデニーズを駆逐した牛になるシリーズをあっという間に過去のものにしてしまったのが、「ゴッキーズ」。

きっかけは、久しぶりにわが家に現れた、あのヒゲの長い、背中のテカテカした黒いヤツ。あわててわたしが組み立てたゴキブリホイホイに誘導しながら、たまが言った。「ごっきーちゃん。おうちよ。ごはんもあるよ」。

おなかをすかせたゴキブリはあっさりホイホイにつかまりご臨終となったが、たまは「ゴッキーを飼いたい」と言い出した。

こうして、ゴキブリをペットにする話が誕生。10匹のゴッキーを虫採りカゴに入れて飼う設定から「ゴッキーズ」と名づけた。

ゴッキーズを連れて、お化け屋敷、保育園、遊園地とおでかけすると、あちこちで「ゴキブリだ!」と大騒ぎ。「ゴキブリではありません。ゴッキーズです」とゴッキーズ自ら釈明するのがお約束。そのうち、言葉の語尾が「ゴキ」となり、「こんにちはゴキ」と挨拶するようになった。

たまはゴッキーズの飼い主であり、母親的存在。「ゴッキーズ川越へ行くの巻」では、朝ドラつばさに出て来た和菓子の甘玉の誘惑に負けたゴッキーに「あんたたち、がまんののうみそがないの?」とお説教。

ゴッキーズ話に夢中になったのは、尾道へ行く数日前。尾道では「ゴッキーズ尾道へ行くの巻」が生まれた。千光寺ロープウェイからメスのゴキエが飛び降りて脱走、尾道中を探し回るというお話。「ゴキエはグレープフルーツの香りがするゴキ」と兄のゴキ太郎が言った。

このとき観光案内を買って出てくれた尾道市教育委員会の内海嬢が「ピンクの羽根にしたらどうですか」と提案。なるほどそれなら見た目でゴッキーズとゴキブリを差別化できる。以来、ゴッキーズはピンクの羽根がトレードマークになり、キャラクターが際立つことに。「ピンクのはねだから、おならはもものにおいなの」とたまが新しい設定をつけ加えた。

ゴッキーズは「おすもうデニーズ」にも出没。食べて寝て牛になるゴッキーも登場。歴代の創作話とのコラボで、どこまでも話は広がる。

「ゴキブリ一匹の後ろには数十匹」などと言われるが、ゴキブリ一匹からこれだけの物語世界が生まれようとは、子どもの想像力のたくましさは、ゴキブリの生命力を遥かにしのぐ。
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07月22日(金)
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