ID:93827
脚本家・今井雅子の日記
by いまいまさこ
[786280hit]
■ 「まめさんテレビ」でustreamデビュー(遠い3週間前)
この日記を書いているのは3月16日の水曜日。先週の金曜日、11日の午後に東北でマグニチュード9.0というとてつもなく大きな地震があり、東京も揺れた。わたしが体験した揺れとしては人生最大級で、かなりびっくりしたし、たまたまその日ダンナの両親宅に預けていた娘のたまの無事を確かめるまでは最悪の事態が頭をよぎったりした。電話が通じないまま、涙目になって自転車を濃いだ。拍子抜けするほど何ともなかった築50年の家に着き、茶の間でじいじに抱かれているたまと再会した瞬間、わたしも涙が盛り上がったけど、あまりのことに呆然としていたたまも、ほっとしたのか、初めて声を上げて泣いた。
テレビでは悪夢のような光景が繰り返し流れた。街ごとが津波に飲み込まれ、流されている。とんでもないことが起こった。命や生活があんなにあっけなく奪われてしまうものか。
その日を境に、すべてが変わってしまった。家は大きく揺れたものの何も失ってないというのに。だから、これから書く「3月11日以前の日記」も、3月11日以前に綴ったはずの内容とは変わってしまう。
この日は、同じ大阪の堺市泉北ニュータウン出身の鶴野充茂さんがやっている「まめさんテレビ」という公開打ち合わせ番組で、記念すべきustream出演デビューを果たした。司会は鶴野さん、共演は以前から新聞記事がなぜか何度も目が合い、会いたい人だった「伝説のホテル」の鶴岡秀子さん、そしてまめさんテレビでおなじみの作曲家の尾飛良幸さん。鶴野さんとは泉北カレーの会(泉北高速鉄道に縁のある人たちでカレーを食べる会。わたしと鶴野さんをつないでくれた川上徹也さんが連絡係)で二度会って以来、あとの二人は初対面。けれど、周波数はバッチリ合って、21時過ぎに始まり、終電が気になる23時半頃まで話は尽きることがなかった。
「てっぱん」のこと、ネットにおける距離感、焼き肉ソングを広めるアイデア出し、脚本の創作秘話、話はあちこちに飛ぶ。3月7日に控えた鶴野さん主催のメデコミ会(メディアコミュニケーション研究会)月例会でわたしがゲストトークをすることになっているので、具体的にどんな話をしようかについても打ち合わせする。ブレストを中継するというのが番組の趣旨らしい。
作曲家はいつも出来上がった映像に音楽を後づけするので、音楽そのものでドラマとして成立しないのが淋しい、みたいなことを尾飛さんがぼやいた。だったら、音楽ありきで後からドラマをつけたら面白いのでは、という話になった。鶴野さんとはもともと「会場で即興で脚本作るのはどう?」と話していたのだけど、メロ先という要素が加わり、膨らんだ。
最後のほうはオヤジギャグが飛び交い、笑い声もどんどん大きくなり、居酒屋トーク状態に。アルコールが入っていると思った人も多かったよう。肉はタレか塩か、そんなどうでもいいことで盛り上がった。ツイッターで参加した人たちとのやりとりも楽しかった。いつもは文字だけのやりとりだけど、文字で来たものに声で返事をすることで、ぐぐっと距離が縮まる感じ。
あの日は、何の屈託もなかった。話題に気を遣うこともなく、伸び伸びとよくしゃべり、よく笑った。今は日本中(関西の人と話していると、東京とはかなり温度差がある。余震と原発と停電で揺れる東京のほうが緊張感が高いと思われる)が縮こまっている。わたしも縮こまっている。
地震の翌日は「てっぱん」の放送が消え、翌週月曜日のBS-hiに持ち越され、以降の放送はBS-hiでのみ朝と夜の2回流れている。こんなときこそドラマという声もあるけれど、ドラマどころじゃない人も大勢いる。自分の書いたものがテレビでかかって、聞こえてくる感想や反応に一喜一憂できたのは、あたり前のことではなかった。
まめさんテレビで「てっぱん」の話をしていたとき、まさか3週間後に日本がてっぱんどころじゃなくなるなんて思いもしていなかった。たった3週間前。その日がとてもとても遠く感じられる。
>>>今日の日記をTweetする
今日のtwitterより(下から上に時間が流れます)
>>>もっと読む
まめさんTV2時間半しゃべりました。楽しかったです。おつきあいありがとうございました。途
[5]続きを読む
02月23日(水)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る