ID:93827
脚本家・今井雅子の日記
by いまいまさこ
[786302hit]
■ 「千回おめでとう」の千賀と再会
応援団でチアリーダーなるものに明け暮れていた大学時代、親交のあった他大学のチアに千賀がいた。大学を出て、わたしが脚本を書くようになったのを知ると「千賀って名前を使って」と言ってきた。初めて書いたNHKのテレビドラマ『彼女たちの獣医学入門』で大動物獣医を目指す女の子(遠藤久美子さんがチャーミングに演じてくれた)をチカと名付け、彼女が肉牛研究会で育てている牛もチカという名前にした。育ての親のチカが自分の分身のように愛情を込めているという設定で。
その千賀が結婚することになったとチア仲間のユカから連絡があり、手作りの絵本を贈りたいと相談があったのは去年のこと。千賀という名前から「千回うれしいことがある」と連想して「千回おめでとう」というタイトルが浮かぶと、するすると物語が紡ぎ出された。それをメールで北海道にいるユカに送り、全国に散らばった仲間が手分けして絵本に仕上げた。千賀の大学の応援団同期が全員集合した結婚パーティで絵本を贈呈するとともにスライドショー上映して大好評だった……と列席したユカから報告をもらい、十年以上ぶりの千賀からはわたしのサイトに「びっくりして腰が抜けた!」と書き込みがあった。
結婚して関西から東京に越してきた千賀と会いたいねと言いあううちに半年経ち、ようやく今日、念願を果たせた。二人が住む街の真ん中ぐらいにある神楽坂で落ち合い、お昼を食べながら近況報告。会っていない時間が長過ぎるので、何をどこから話せばいいやら……。千賀が京都でバイトしていたパン屋さんが東京に進出していたり、わたしのご近所仲間の話を千賀が面白がったり。考えてみると、年に何度か会っていた学生時代の4年間のこと以外は、お互いのことをよく知らない。結婚式の写真を見せてもらい、お姉さんがいたんだと知る。

絵本になった『千回おめでとう』は、想像していたものよりはるかに立派で、さすが応援団、やるときはとことんやるわと驚いた。フルカラーの絵はイラストレーターとしても活動しているササイが描き、文字はあーちゃんで、製本はユカで……手分けして一冊の絵本が出来上がった。
物語にもみんなのアイデアが入ってるんだよと千賀に話す。応援団時代にあった千賀との思い出をユカがみんなにインタビューし、わたしにメールで送ってくれた。それを絵本の世界の出来事に翻訳したものがエピソードになっている。
「私、雅子に名前のこと話したっけ?」と千賀。幼い頃、お姉さんがふざけて千賀にデタラメな名前の由来を教えたときに、「たくさんうれしいことがあるように、千賀ってつけたのよ」とお母さんが教えてくれたという。「聞いてないけど、名前を見て、そう思った」とわたし。物語を聞いてお母さんが感激したと聞いて、うれしくなる。名前も、結婚式も、子よりも親のことに想いを馳せてしまうのは、自分が親になったせいかなと思う。
せっかくなので、写真を撮らせてもらい、絵本の中身をご紹介。写真でかろうじて文字が読めるけれど、文字のみの全文はこちらで公開中。
[5]続きを読む
07月02日(金)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る