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脚本家・今井雅子の日記
by いまいまさこ
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■ ピンク一色のカフェに全身ピンクで乗り込む
「会いたいね」と言い続けること数か月、友人まいちゃんと渋谷での打ち合わせ前にお昼を食べる。大阪で高校生だった頃、同じ交換留学プログラムで研修を受けて仲良くなったまいちゃん。高校もその後の進路も別々だったけど、縁あってお互い東京にいて、ときどき会っている。

友だちづきあいが長続きするかどうかの大きな分かれ道は、「食べものの趣味が合うかどうか」だとわたしは思う。同じ食べ物を好きということではなく、同じものを食べたときの気分を気持ちよく分かち合えること。「ランチにいくら出すか」だったり、「予算の中でどの店を選ぶか」だったり、そういう経済感覚も含めて、食べものの楽しみ方に価値観があらわれる。

「まいちゃん」「まいまい」と呼び合うまいちゃんとは、あだ名も似ているけど、食べものの好みがとても近い。彼女が選んで持ってきてくれたお菓子(シーキューブのシュークリームとか)は、その後もわたしの好きなものリストに入ったし、一緒に行ったお店を出るときに、いつも二人ともにこにこして、よかったねと言い合っている。

そういう気の置けない友だちは、新規開拓の良きパートナーになる。そういうわけで、「渋谷だったら、行ってみたいお店があるんだけど」と指名したのは、「タロス」という南イタリア・サルデーニャ島家庭料理のお店。大好きだったレストランJ(現在は閉店)の情報を求めて購読しているeatpiaのメルマガで紹介されていた。eatpiaはおいしいお店連合のようなレストランガイドのサイトで、ここに加盟しているお店はわたし好みの確率高し。

渋谷西口から徒歩3分ぐらいの便利なところにあるカジュアルで明るい雰囲気のお店で、まいちゃんと現地集合。1050円のランチは、サラダビュッフェ(温泉卵に感激)とパンとパスタ(ナスと魚介をチョイス。貝たっぷりのボンゴレ風)と食後の飲み物がつく。渋谷のランチとしては大満足なコストパフォーマンス。子育ての大先輩でオーストリアに留学中の高校生の女の子と中学生の男の子がいるまいちゃんから、はるか未来の学校の話をふむふむと聞いたり、「つばさ」の感想を聞いたり。まいちゃんは「いろんなお母さんがおるやん。ああゆうお母さんを朝ドラでやるって、おもろいと思うわ」と面白がってくれる。会話は二人とも思いっきり大阪弁。

とそこに、プロデューサーから「打ち合わせ開始を遅らせたい」と電話。じゃあ、デザートにいこっか、となる。居心地のいい店内にこのまま居座ってショーケースから選んでもいいし……となったところで、思い出した。「そうや。たばこと塩の博物館にオープンテラスのカフェができたらしいんやけど、そこ行けへん?」「行く行く」とノリ良く立ち上がるまいちゃん。

少し前、新聞で紹介されているのを見て、ネットでも下調べしたそのカフェのメニューがクレープとガレット中心で店名が「セ・ボン・プラージュ」ということからパリっぽいお店を想像していた。坂を上って、たばこと塩の博物館が近づいてくると、目がちかちかするようなピンクが飛び込む。おお、あれは! 浮き上がるような派手派手ピンク! 後で調べると、JT=日本煙草産業のコーポレートカラーである「緑」の補色「フランベリーピンク」をアクセントカラーに採用したとのことだが、アクセントではなく全体がピンク! シャンゼリセ通りはもちろん、インドにあるピンクシティのジャイプールにあっても、このまばゆさは度肝を抜きそう……とうれしさもまじって興奮していると、「まいまい、同じ色やん」と隣からまいちゃんの突っ込み。言われて、わが身を見れば、よりによって今日は全身ピンクで、店にすっかり溶け込んでしまっている。


ランチを食べたばかりにもかかわらず、「二人で一枚」という発想はなく、「二人で二種類分け合おか」となるところも、あうんの呼吸。


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06月03日(水)
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