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脚本家・今井雅子の日記
by いまいまさこ
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■ 「ひつじが1匹」から「ひつじが100匹」までのお話
娘のたまを寝かしつけるのに毎晩苦労している。一日中保育園に預けられているので、6時にお迎えされて、晩ご飯を食べて、お風呂に入って、そこからが母親と遊べるゴールデンタイム。「良い子は寝る時間」の9時を過ぎた頃からエンジンがかかり、「ねんどする」「おうまさんする」「おうちおうちする」「えほんよむ」となる。
10時半を過ぎると、無理矢理布団に寝かしつけ、子守話を聞かせると、親のほうはうとうとしてくるのに、たまはますます目が冴えて起き上がり、また遊び始めてしまう。ようやく寝かしつけに成功したときには、疲れて一緒に寝入ってしまい、締切前なのに10時間睡眠を取り、翌朝になって、「しまった! 昨夜のうちに仕上げるはずが……」と青ざめる始末。
寝かしつけに効きそうなことは、いろいろ試してみた。熱めのお風呂に長めに入ったり(たまは子どものくせに熱い湯に強く、親が先にゆでだこになる)、人形を寝かしつける遊びをさせたり(布団に誘導するには効果的)。古典的な「ひつじが1匹、ひつじが2匹……」もやってみた。数えるだけだと芸がないと思い、「ひつじが1匹、ぽーんととんだ。ひつじが2匹、くるりととんだ。ひつじが3匹、ころんでとんだ……」と変化をつけ、途中で「そろそろ寝たかな」と中断して顔をのぞきこんだところ、「ひつじ、どうなったの?」と目をぱっちり見開いて聞かれた。どうやらいつもの子守話のひとつだと思っていたらしい。
百匹のひつじの百種類のジャンプを考えてみよう、という頭の片隅にあった計画が急浮上したのは昨日。目の前にやらなきゃいけないこと(昔は試験勉強、今は締切前の原稿書き)があるのに、すぐに取りかかる気分になれず、普段しないこと(昔はジグソーパズルの箱を引っ張り出してきた)をしたくなる。それで、魔が差したように、「ひつじが百匹」のことを思い出したのだった。
せっかくだから、数え歌っぽく、それぞれの数字にちなんだ理由や描写でジャンプさせようと考え、やりだしてみると、気分転換(あるいは現実逃避)のつもりが、一日がかりになってしまい、日をまたいで今日になっても「42匹目のひつじ、夜逃げだと、子どもに聞かせるにはまずいか」などと唸り続け、新聞に目を通すと、「二階建て」「三角屋根」「二重飛び」などの数字が入った単語が目に飛び込み、そうなると、辞書を引きたくなり、またしても一日費やしてしまった。
もっといいものがあれば差し替えたいものもあるものの何とか百種類のジャンプがそろい、完成披露することに。子守唄っぽいメロディもつけて、「いちばんめのひつじは いちばんぼ〜しみつけて と〜んだ〜」(詩では「ひつじ」で止めたけえど、歌うと「ひつじは」となった)と10匹目まで歌ってみると、「おもしろい」とつかみはいい感じ。うれしくなって、ひつじを飛ばし続けると、「13びきめのひつじは」のところで突如、「あなた!」とたま。以後、「14ひきめのひつじは」「あなた!」「15ひきめのひつじは」「あなた!」……。わたしが四苦八苦して考えた歌詞は、「あなた!」の一言で片付けられてしまった。絶妙なタイミングで「あなた!」が決まるのが快感なのか、たまは身をよじって大受けしながら、「ママ このうた おもしろいね。どこで おぼえたの?」。ガックリ。ママは寝込みます。
子守話48 ひつじが百匹
1ぴきめのひつじ いちばんぼしみつけて とんだ
2ひきめのひつじ にかいのまどから とんだ
3びきめのひつじ さんかくやねのうえから とんだ
4ひきめのひつじ よんほんあしふんばって とんだ
5ひきめのひつじ ごひきごぼうぬきで とんだ
6ぴきめのひつじ ロケットみたいに とんだ
7ひきめのひつじ ななほしてんとうみつけて とんだ
8ぴきめのひつじ はちまきしめて とんだ
9ひきめのひつじ きゅうかんちょうおいかけて とんだ
10ぴきめのひつじ じゅうじのほうがくに とんだ
11ぴきめのひつじ じゅういさんこわくて とんだ
12ひきめのひつじ じゅうにがつのクリスマスに とんだ
13びきめのひつじ いちみとうがらしからくて とんだ
14ひきめのひつじ いしころですべって とんだ
15ひきめのひつじ じゅうごやおつきさんみて とんだ
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02月24日(火)
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